香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
このアスコ SX260PW型赤道儀は、天文愛好家仲間が共同して長野県清里につくった「清里天体観測所」に設置されていたものです。2016年8月末に清里天体観測所からご連絡をいただき、機材更新のため、ご寄贈いただけることになりました。
天体望遠鏡の架台に求められる性能は、目的の対象に正確に向けられ精度よく日周運動を追尾できる精度と、剛性を持ち微振動等を起こしにくい頑強さですが、アスコ(旭精光研究所)のSX260赤道儀は、当時としては水晶発振式のパルスモーターでの高精度の追尾と、赤道儀本体からピラー脚を一体化した頑強な構造をもった赤道儀です。特に、極軸上下調整機構はほとんど赤道儀に付加されておりますが、それが振動に対し影響することから、思い切って省略した構造はそれ以降の他社の赤道儀のデザインにも大きな影響を及ぼしました。
スペック
不動点高さ 約1070㎜
ヘース寸法 550×450×60㎜
架台部重量 230㎏
最大同架重量 70㎏
目盛環最小読み取り 赤経1分 赤緯0.5度角
高度・方位微動装置付
1987年 旭精光研究所製
本機の追尾装置は2000年にMRD自動導入装置に換装されています。
アスコ SX260型赤道儀は据え付け型の赤道儀ですから一人で移送はできません。事前情報で高床式の観測室から階段を使って降ろすことと、観測所から駐車場まで草地を通らなければならないこともわかっていました。また香川県と長野県間は長距離になりますので、京都・滋賀の会員とボランティアが担当することになりました。
あらかじめ天体望遠鏡博物館のホンダ・ラグレート(会員寄贈のミニバン)を香川から京都に回送しておき、2016年10月8日の朝に京都在住のボランティア2名で京都を出発しました。15時半に清里駅で滋賀県から参加のボランティア2名と落ち合い、清里天体観測所に向かいました。
清里天体観測所の皆さんも次々に到着されてきました。みなさん望遠鏡を持参しておられるようです。
到着された清里天体観測所の皆さんとさっそく打合せをしました。その結果、アスコSX260赤道儀に加え、メンバーの皆さんからも持参された以下の機材をご寄贈いただけることが判明しました。嬉しい悲鳴です。果たしてすべて車に積めるかどうか。
タカハシTS-160赤道儀、16㎝ニュートン鏡筒PD4,JP型、木製三脚(清里天体観測所様)
タカハシJ型赤道儀(初期型)三脚なし(大越治様)
カートンコメットシーカー一式(大越治様)
ビクセンSP赤道儀、木製三脚、スカイセンサーⅡ(笹沼範夫様)
ミザールAR-1赤道儀、MMDⅢ、三脚なし(石井馨様)
ビクセンスーパーポラリスDX・R150S赤道儀一式、スカイセンサー3D(星クラブ横浜様)
ミザールニューアポロ赤道儀、カメラアダプター(岡本章様)
関西光学カセグレン鏡筒(綿貫博孝様)
西村製作所 20㎝ニュートン反射赤道儀一式(宿谷譲様)
夕食後清里天体観測所の皆さんと明日の搬出に備え、赤道儀の分解をしました。
①プレート②赤緯体③バランスウエィト④極軸体⑤脚部⑥ベース部に分解して明日の搬出に備えます。
いよいよ10月9日、搬出の朝を迎えました。残念ながら強い雨が降っていました。作業が難航することが予想されます。赤道儀はスライディングルーフに収められており、まずはスライディングルーフから搬出するのがたいへんでした。
スライディングルーフから駐車場まで距離があり、一輪車をお借りして運びました。
さあ、いよいよ車への積み込みです。順番をよく考えて積んでいきます。このころには雨も上がりました。
その結果、車の車高が下がり、砂利道ではマフラーが地面に接触するほどでした。
清里天体観測所の皆さんと記念撮影
清里天体観測所の皆さんのご協力のおかげでお昼には現地を出発することができ、夜に京都に無事到着しました。車がもってよかった!その後、京都から無事天体望遠鏡博物館に搬入することができました。車の車高が元に戻るかどうか心配でしたが、これも大丈夫でした。
清里天体観測所の皆さん、ありがとうございました。
1ヶ月後の2016年11月8日、天体望遠鏡博物館での組み立てが行われました。
小型望遠鏡も仮組みを行いました。
タカハシTS-160赤道儀、16㎝ニュートン鏡筒PD4,JP型、木製三脚(清里天体観測所様)
タカハシJ型赤道儀(初期型)三脚なし(大越治様)
ミザールAR-1赤道儀、MMDⅢ、三脚なし(石井馨様)
*三脚は撮影のために用意したものを仮組しています*
ビクセンスーパーポラリスDX・R150S赤道儀一式、スカイセンサー3D(星クラブ横浜様)
2019年9月23日、清里天体観測所のメンバーが天体望遠鏡博物館に来館されました。懐かしい天体望遠鏡との再会です。
展示準備中の1メートル級鏡面研磨機(苗村氏寄贈品)も見てもらいました。
この日の館内案内には2016年10月に清里天体観測所にお伺いし移設作業を行った滋賀県のボランティアスタッフ金井氏が駆け付けました。3年ぶりの再会です。天文仲間っていいですね。