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火星を見よう、今でしょ。

[天文現象] スケジュール:2020/10/06
更新日:2020/09/23

晴れの日の宵、東の空に、とびぬけて明るいオレンジ色の星を見つければ、それは火星です。火星、今、近いんです。「水金地火木土天海」火星は地球のお隣の星ですから、近くて当たり前だと思う方も多いと思いますが、地球も火星も太陽を中心に回っているために、とても近い時もあれば、思いのほか、遠い時もあるんです。近い時の距離は6000万kmほど。遠い時は1億3000万km以上あることもあります。6000万kmとか1億3000万kmとかいわれてもあまりに大きく、なかなか実感できません。そこで、そう遠くない未来の話、宇宙ロケットで火星探査に出かけた宇宙飛行士と、携帯電話でお話をしてみましょう。火星が近い今ならば、地球のあなたが「もしもし」と携帯電話で話しかければ、約3分30秒ほどで火星に届きます。火星の宇宙飛行士はそれに答えて「はいはい」と言えは、その声は約3分30秒ほどで地球に届くことになります。あなたが「もしもし」と呼び掛けてから約7分後にあなたの携帯のスピーカーから宇宙飛行士の声を聴くことができますので、相当不自由は感じそうですが、なんとか挨拶くらいはできそうです。一方、火星の距離が遠い時には、電波の速さで片道22分以上かかります。呼びかけてから返事があるまで50分近くかかるので会話をするには大変です。火星が遠い時には電子メールなどを使ったほうがよさそうです。ちなみに、もし、月のウサギが携帯電話もっていたなら、月まで電波は片道1.2秒ほどで届きますので、さほど苦も無くお話が出来そうです。

 WS000343_1火星が地球に近い (2020/10/6日の惑星の配置)

 WS000342_1火星が地球に遠い (2019/8/19日の惑星の配置)

今の火星、近いです。近いと、明るいのです。近いと大きいのです。だから、見るなら今なんです。遠い火星は家庭用の望遠鏡で観察しても、ただの赤い点にしか見えません。ところが、今の火星は、明るく大きいため、条件が良ければ火星の表面の模様が見えることがあります。赤い火星の中に、少し黒っぽい模様を見つけたり、極冠と呼ばれる、火星の南極と北極の部分に白いドライアイスの氷を見つけたりすることもあります。

望遠鏡での火星の観察は、あせらず、じっくり、ゆっくり、望遠鏡のレンズの中を眺めているのが良いでしょう。地球上には大気があるため、夏の日のアスファルトの上の陽炎のようにレンズの中の火星が揺らいで見えます。そのため、淡い模様が揺らぎに消えて見えないこともしばしばあります。あらせずに、じっくり観察していると、一瞬見えたり、だんだん良くなったりすることがあります。見えないときは、時間を変えたり別の日にあらためて観察したりすると、はっとするほど、よく見えることがありますので根気よく継続してください。

Mars2_225120_lapl4_ap5_Driz口径8cm小型屈折望遠鏡で撮影した火星 

火星は約2年2か月ごとに地球に近づきます。観察は今でしょ。次の接近は2年2か月後になりますが、太陽のまわりを回る火星の軌道は、楕円形をしているため、接近ごとの距離が異なります。前回、2018年には大接近しましたが、今回は、それに次ぐほぼ大接近で、相当近い火星が見えています。しかし、次回以降はどんどん離れて、今のこの距離になるのは13年後になります。決して見納めと言うわけではありませんが、今年の火星は特に大きく素晴らしいので、観察チャンス、今でしょ。

なお、今回の最接近は10/6日となりますが、前後一か月程度は観察好機となりますので晴れていたらぜひ、何回も観察してください。

mars2020-02-m最接近の地球と火星の位置と距離

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クレジットのない図表は国立天文台開発の宇宙シミレーションソフトMitakaにより作成
火星の望遠鏡写真は2020/9/19日 札幌市にてfuji-san撮影
担当 fuji-san

 

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