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今が見頃2019年夏の土星

[天文現象] スケジュール:2019/08/17
更新日:2019/08/17

■今年は傾きが大きく、とにかく姿が美しい
すでにお知らせしている木星に加え、今年の夏は土星も見ごろになります。トレードマークの環をまとう美しい姿は、望遠鏡観察でダントツ人気です。この姿を望遠鏡で見たことがきっかけで天文少年・少女になったり、子どものみならず大人の方々も天文ファンの道に足を踏み入れたりする方も少なくありません。そんな魅惑たっぷりの惑星ですが、今年は特に観察しておきたい天体の一つです。と、いいますのも、今年は土星の輪の傾きが大きく、とにかく姿が美しいのです。
地球儀に傾きがあるように土星の自転軸も太陽を回る軌道に対して傾いています。
土星は、その傾きを同じ方向に向けたまま太陽のまわりを、約30年かけて一周しているため、地球から見たときの環の傾きは、約15年周期で大きくなったり小さくなったりします。(「真横→傾きが北に最大→真横→傾きが南に最大→真横」を約30年で繰り返すため、環の傾きの大きさの変化は、その半分の約15年周期となります。)
地球から見た土星の輪の傾きは2年ほど前に最大になり、今後、年々少なくなっていきます。6年後の2025年には環の無い姿になるというのですから驚きです。
 土星の環の厚さは、幅に比べてきわめて薄いため、地球から見て環を真横から見ることになる数日間は、環を見ることができなくなります。環が実際になくなるわけではありません。(土星の環の幅は見えているところでだけで、地球と月の間にすっぽり入るくらいの巨大なものであるの対し、その厚みは数キロメートル、場所によっては数十メートルと極薄の構造であることが土星探査機の調査でわかっています。)
環の無い土星を初めて見ても楽しくないはずです。次第に薄くなっていく土星の変化を毎年、観察するのが良いでしょう。環の傾きが大きく、ちょうどいいバランスの姿を見ておきましょう。

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地球から見た土星の姿の変化 国立天文台WEBより転載 

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シミレーションソフトによる惑星の傾きと配置  国立天文台フリーソフトMitakaにより作成

土星の環の観察は小型望遠鏡があると楽しく行うことができます。
安価な小型望遠鏡でも星空の条件が良ければ、小さいながらも、美しい環をもつその姿を観察できます。もし機会があればお手元にご用意されてみてください。望遠鏡博物館では工作キットを使用した小形望遠鏡の製作講習会(天体望遠鏡工作教室)などもしばしば企画していますのでこれに参加していただくのもよいかもしれません。

眼視イメージ土星大小00

 

            小形望遠鏡での観察イメージ                         大型望遠鏡での観察イメージ

小型望遠鏡でも小さいながらも鮮明な環を観察できます。大望遠鏡ではより大きく拡大することができます。小型望遠鏡と見比べしてみるのも楽しいかもしれません。条件が良ければ、環の間に隙間を発見したり、土星本体に縞模様を見つけたりすることもあります。
望遠鏡博物館では定期的に夜間天体観察会を開催していますので、ぜひ、これにご参加いただき大望遠鏡で迫力の土星を観察してみてください。次回夜間天体観察会の開催予定は9月7日、10月5日 です。

stellarium-023_2土星の近くの星も観察してみましょう。
今の土星は、いて座にいます。いて座はお誕生日の星座ですから、ご存知の方も多いと思いますが、実際の星空では詳しくないと見つかりません。今年は、土星のおかげで楽々探すことができます。ただ、高度が低く、あまり明るい星がないため、都会の空では双眼鏡などを使ってみてください。まず、いて座の目印は南斗六星(なんとろくせい)という星並びです。誰でも知っている北斗七星のミニ版みたいな姿を探します。土星のすく下、腕いっぱいに伸ばして、ぐー・チョキ・パーのチョキの指の間の下あたりに見つけることができるでしょうか。さらにつないでみてください。午後のひと時、紅茶をおいしく入れるティーポット。その形につなぐことができれば、いて座探しは完成です。
なお、余談になりますが、銀河系の中心部方向の位置を星図中、赤矢印で示しました。この方向には超大質量ブラックホール「いて座A」や巨大な星形成領域「いて座B2」など多くの天体が密集しているそうです。手元の望遠鏡を使用しても実際にこれらを見ることはできませんが、この方向を眺めているだけで、とてもわくわくする神秘の領域です。

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いて座の目印、南斗六星(なんとろくせい):水色 ティーポット:青色 と呼ばれる星並び

いて座の右側、ぐー・チョキ・パーのグー2つ分くらいのところには、ひときわ明るい木星と、その下、赤い色が美しい、さそり座の一等星はアンタレスが輝いています。アンタレスは小学校でも学習しますので、お子さんやお孫さんと一緒に、この夏の星空をお楽しみになってみてはいかがでしょうか。

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拳や指を使った星探しは、星好きの伝統的な技なんです。腕いっぱいに伸ばして拳を握ると、子どもも大人もその角度は約10度。拳の中に指は5本あるので、人差し指は約2度になります。結構これが、正確なのに驚きます。
文中の出展表記のない図表はプラネタリム表示用フリーソフトStellarium 0.19.1を使用しました。
観察イメージの写真を当博物館賛助会員の三上 耕司氏からご提供をいただきました。写真は実際の観察イメージに近づけるため画像処理されています。(担当: fuji )

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