お知らせ

  1. HOME > 
  2. お知らせ > 
  3. ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を捉えましたー3-

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を捉えましたー3-

[お知らせ] スケジュール:2022/11/21
更新日:2022/11/21

昨年12月25日に打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope、JWST)は隕石の衝突などによる影響もありましたが7月11日にジョー・バイデンアメリカ大統領の特別イベントでジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した初画像を公開しました。
その後も次々と撮影された画像が公開されています。先日11月9日にはM16(わし星雲)の画像が公開されハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「創造の柱」と呼ばれた星形成領域の最新画像はハッブル宇宙望遠鏡を遥かに凌ぐ鮮明で素晴らしいものでした。

~JWST 撮影への再挑戦~
このJWSTは地球から約150万キロ(月の約4倍)の位置にあります。前回5月4日にビクセン製20センチ反射望遠鏡で撮影に成功し、撮影できることが判りましたが、この時はJWSTの周りに小さな星たちしかありませんでした。
そして今回撮影し画僧処理した写真がこちらになります。
(〇の中にある直線状がJWSTの軌跡です)

M1-JWST 20221117 - コピー

撮影日: 2022年11月17日 23:20~24:02
撮影地: 岡山県井原市 星空公園駐車場
架台 : ビクセン SXP2赤道儀
鏡筒 : ビクセンR-200SS 焦点距離1120mm相当(コレクターPH使用)
     中心部を5000mm程度(?)にトリミング実施
カメラ: CANON EOSRa ISO 12800 露出60秒×30枚 

*参考 天体望遠鏡博物館ホームページ―お知らせ―2022年5月23日-ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を捉えました-2-
https://www.telescope-museum.com/post-12277/

最近のJWSTの素晴らしい画像を知って再度JWSTを撮影してようと思い立ち、折角なので星雲・星団とのコラボが撮れないかと考え、アストロアーツ製の天文シミュレーションソフト ステラナビ―ゲーターを使用し、星雲・星団の近くを通過する時が無いか調べてみました。前回同様の条件で撮影することを考慮し、シミュレートした結果、11月17日、M1(かに星雲)のすぐそばを通過することが判りました。(このような好条件はこの先1年以上ありません)

星図1

星図2

AstroArtsステラナビゲーターVer11で作成(四角は1120mmの画角)

お天気を心配していましたが当日の天気は快晴。定時で仕事を終え帰宅した後、夕食を採りホームグランドにしている岡山県井原市にある井原市星空公園に行きました。星空公園に到着したのは21時頃。
この日は0:22に下限過ぎの月が昇ってきます。極力天頂に近いほうが撮影できる可能性が高いので23時~24時頃に撮影することに決めていたので時間があります。
手持ちの鏡筒はビクセン製20センチ反射望遠鏡(R-200SS)と同じくビクセン製8センチ屈折望遠鏡(ED81Sf)。20センチ反射では撮影出来ていますが8センチ屈折で写るかどうか試してみることにしました。
 望遠鏡を組み立てまずは8センチ屈折での撮影、ISO12,800、露出60秒で撮影。
撮影はアストロアーツ製 ステラショットを使用しています。8枚撮影したところでエラーが発生したことに気づきました。カメラに入れていたSDカードがいっぱいで保存できなくなってエラーが起こっていました。事前の確認不足です。
新しいSDカードに交換し、再開しようとしましたが、今度は先ほどのエラーの影響でステラショットのカメラが撮影中のままでフリーズしていました。撮影停止にしても反応せずソフトの再起動をしようとしましたが撮影中と認識しているためステラショットを終了することも出来ません。そのままの撮影続行が出来ないのでパソコンを強制終了し8センチでの撮影はそこで中止しました。せめて画像処理用にダーク写真(ノイズ除去に使用)は撮りたかったのですが・・・。

架台はそのままで鏡筒のみ交換し赤道儀の動作確認(アライメント)やガイド状態の確認(キャリブレーション)を実施し20センチ反射で撮影しました。撮影条件はISO12,800、露出60秒と同一条件にしています。その場で1枚テスト撮影した画像を確認しましたが60秒ではJWSTの動きが少なくすぐに確認することはできませんでした。しかし、星の写り具合からすると写っている可能性は十分あると判断し、20枚の連続撮影、これで画僧処理すれば合計露出時間は20分。
場所は星空公園の駐車場であり撮影中も一般の方が星を見に入ってくることもあります。この日も平日、木曜日の夜ですが撮影中5~6台の車が駐車場に来ました。追加で10枚撮影。合計露出時間は30分になります。これだけ枚数を撮影していれば画像を重ねて処理した出来上がりの画像でM1(かに星雲)もそれなりにきれいな状態に仕上がり、30分の軌跡であればJWSTも十分動きが確認出来ます。あとは画像処理に使用するダーク・フラット画像を撮影して撮影終了です。

自宅に帰り撮影画像をダーク・フラット補正して加算合成によるコンポジット処理。30枚の画像を重ねてできた画像を確認するとJWSTが線状に写っているのが確認出来ました。

M1-JWST 2022_11_17(R200SS) - コピー

この画像をベースに画像処理したものが冒頭の最終画像です。
 同様に8センチ屈折で撮影した画像も処理しましたがこちらではJWSTを確認することが出来ませんでした。

M1-JWST 2022_11_17(ED80Sf) - コピー

2つの画像は加算コンポジットし、簡易調整のみ処理した画像です。
どちらも直焦点撮影ですが8センチは焦点距離560mm相当、20センチは1,120mm相当と撮影範囲の違い、写りの違いがはっきり判ると思います。
たたし、20センチ反射は30分露出、8センチ屈折は8分露出と撮影時間に差があります。

JWSTの撮影する鮮明な画像は今後も次々発表されることと思います。どんな新しい世界を見せてくれるか楽しみに待ちましょう。

 天体望遠鏡博物館 ボランティアスタッフ U(岡山県在住)

 

お知らせの一覧はこちら

天体望遠鏡博物館

開館日

開館日

Copyright © Museum of Astronomical Telescopes, All rights reserved.