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JAXAの小惑星探査計画のための恒星食観測に成功しました

[お知らせ] スケジュール:2021/10/22
更新日:2021/10/22

天体望遠鏡博物館は、「DESTINY⁺」プロジェクト・サイエンスチームの吉田二美先生(産業医科大学)が主宰されている恒星食観測チームに加わり、H3年10月4日(月)午前2時3分、小惑星ファエトンの恒星食のデータを取ることに成功しました。このデータは、ファエトンの大きさと形を同定するために使われ、ファエトンの形が球体ではなく、これまでの想定よりも大きくひしゃげた断面が観測されました。
 
小惑星リュウグウは、はやぶさ2による探査が大きな関心を呼びましたが、実はファエトンにも小型の探査衛星を送る計画があります。これが、JAXAと千葉工業大学が共同で計画している、「DESTINY⁺」プロジェクトです。小型衛星が2024年度に打ち上げられ、2028年1月に予定されているフライバイ時には500kmの近さまでファエトンに近づいて撮像する計画とのことです。

「DESTINY⁺」プロジェクトについては、下記を参照してください。
深宇宙探査技術実証機「DESTINY⁺」 | 惑星探査研究センター(PERC) (it-chiba.ac.jp)

ファエトンは数ある小惑星の中のひとつですが、彗星の顔も有していて、ふたご座流星群の母天体として有名です。ファエトンから放出されたダストには生命の前駆体となる可能性がある炭素や有機物が含まれているかもしれないと指摘されており、たいへん興味深い小惑星です。

ファエトンの直径が約6kmであることまではわかっていますが、この小惑星に小型衛星が近づくためには、前もってファエトンの直径をさらに高精度で求める必要があります。そのようなときに利用されるのが、「恒星食」という現象です。ファエトンが恒星の前を横切ると、一瞬恒星が見えなくなります。恒星が見えなくなるということは、観測者がファエトンの影に入ったということです。見えなくなる時間はファエトンの中心では長く、端に行くほど短くなります。すなわち、ファエトンでできる影の大きさからファエトンの大きさと形が見えてくるのです。このためには、出来るだけ多くの地点で「恒星食」を観測する必要があります。

実際に恒星食が起こる場所はフェアトンの大きさに規定されるため、今回の恒星食帯は三重県から島根県に至る幅約5kmの帯状の地域です。天体望遠鏡博物館が恒星食帯の南端に位置するため、DESTINY⁺サイエンスチームから観測協力の依頼がありました。ファエトンが直径6kmの球形であれば天体望遠鏡博物館で恒星食が観測されるはずです。しかし、もし恒星食が起こらなければ、ファエトンが恒星の端を通過したことになり、ファエトンはもっと小さいか、球形ではなく南北方向にひしゃげた形であることが示唆されます。このため、天体望遠鏡博物館における観測はファエトンの形と大きさを決めるうえでたいへん重要な意味を持ちます。

今回の恒星食はDESTINY⁺計画にとって必要不可欠なため、東京はじめ全国から観測者の方が、香川県に来られ,11地点に分かれて観測が行われました。また、全国では香川県分を含め34地点でプロの研究者とアマチュアが協力して観測が行われました。

今回の恒星食の対象となった恒星は、ぎょしゃ座とペルセウス座の境界付近にある12等星です。対象星が非常に暗いうえ、恒星食の時間も最大0.64秒とたいへん短いため、たいへん難しい観測になりました。
天体望遠鏡博物館では,京都大学理学部宇宙物理学教室大宇陀観測所で活躍していた口径60cm反射望遠鏡で観測を行いました。このほか、恒星食が起こる北端の綾川町と恒星食帯のほぼ中心に位置する和歌山県湯浅町でも会員が観測し、いずれもデータの取得に成功しました。

得られたデータを見ると、恒星食帯南端の天体望遠鏡博物館では、恒星食は生じていませんでした。また、北端の綾川町で観測した会員のデータには恒星食は認められませんでした。その他の観測地点のデータと合わせ、Phaethon観測チームのベテラン観測者が計算したところ、ファエトンは球形ではなく、南北方向にひしゃげたソロバン玉型であることわかりました。これは極めて重要な発見と言えます。

図1(作成:Phaethon観測チーム)

 このように今回のファエトンの恒星食の観測は大成功に終わりました。アマチュアがプロの研究者のお手伝いができるところが天文学の醍醐味のひとつです。また、今回は一度引退した大型望遠鏡(写真 下)を天体望遠鏡博物館で整備した結果、現役復帰してプロのお役に立てたことを誇りに思っています。

60㎝側面から


 

阿南科学センターの今村和義様が撮影された動画をご覧ください。7秒付近で目標恒星が一瞬見えなくなるのがはっきりとわかります。
https://youtu.be/QHYBHOZo4d4


 

以下は実際に観測に当たられた天体望遠鏡博物館関係者の顛末記です。

堀川利裕(図-色の線:洞口・堀川)

60㎝1005

大宇陀60cm望遠鏡の動作事前確認と科博・洞口さんの観測の補助をしました。

感想
・事前確認にも多くのMATスタッフの方々のご協力やご声援をいただき、感謝感激です。
・一発勝負の事前確認は、できる限り本番に近い状態まで入念に行う必要があります。
「~のはず」で終わらせるのは、本当に恐いと実感しています。
・一生懸命にやると充実して楽しいです。さらに仲間がいると楽しさ倍増です。


片山 敏彦(図-色の線:大島・片山)

岡山県倉敷市の大島修さん(岡山理科大,天文学)と二人で,Phaethonの掩蔽による恒星食を観測した。観測に用いた望遠鏡は,当博物館で観望会時に活躍しているMeade25cmSC,赤道儀はPentax製MS-4です。観測場所は,綾川町畑田にあります,学生時代からの知人W氏宅のお庭です。2日(土)夕方,午後に知人宅へ機材を搬入。組立作業開始。夜には,実際に機材等が作動するか,ターゲットの恒星を視野に入れ,確認作業を行いました。この日は,夜半過ぎに撤収。
3日(日)夕方,再び,知人宅に2人が結集。暗くなってから,作業開始。そして,夜半過ぎ,02時過ぎにビデオに状況をとらえました。2人でその瞬間をずっとモニターで眺めていましたが,「ウンっ??消えたかな?」そんな状況でした。結局,消えていませんでした。機材を車に積み込んで,3時過ぎに撤収。

感想
既に,大島さんからは,PhaethonのMLにて以下のような博物館に対する謝意とコメントをいただいています。以下,コメント内容です。この内容そのものが,今回の博物館の望遠鏡の活躍ぶりを物語っていると思います。


大島です。
お礼が遅くなりましたが,この度は,博物館の望遠鏡を貸し出していただいて大変ありがとうございます。早水さんの感想に,もう一点付け加えます。私と片山さん組の観測は,今朝の早水さんの改良された整約図をご覧くださればわかるように,北限を押さえました。これも天体望遠鏡博物館の望遠鏡を貸し出していただいた結果です。つまり天体望遠鏡博物館の2台の望遠鏡が,偶然ではありますが,今回の観測では北限と南限の両方を押さえ,小惑星の形が,予想よりも赤道方向 にかなり潰れた形になっていることを示していて,高速自転天体の研究としても貢献するのではないかと思います(私はこの分野は素人ですので間違っているかも知れませんが)。天体望遠鏡博物館の望遠鏡が,生きた望遠鏡として大活躍したと総括してよろしいのではないでしょうか。


白川博樹(南限と予測されていた天体望遠鏡博物館の南に位置する観測地で喜多氏と観測)

〇はじめに
掩蔽観測は、過去掩蔽観測用の望遠鏡について調べたりしたこともあり、イメージはありましたが、小惑星が恒星を隠すという観測に対し、多くのアマチュアの方が携わっていらっしゃることを知り、驚きました。また、水路観測所や、遠征隊のような大規模の設備が無くて、どのように測定するか、興味津々でした。

〇機材について
掩蔽観測と言うと光電測光でアナログ的なグラフを書かせて、電気的に時間信号も入れられますので簡単と思いましたが、ビデオやCCDカメラと聞いて、少し考えました。対象は12等、蓄積したら写るでしょうが、時間も正確にということでしたら、高フレームレートでないといけない。だいたいフレーム毎の撮影で時間が正確にとれるのか?実は、最後のところは今でも理解できておりません。ビデオ信号なら画面の位置で写る時間が微妙に変わるはずと・・。勉強します。とにかく30フレーム/秒(=fps)で12等星を撮るということで、逆に同じ感度なら視野が狭く素子数が少ないカメラの方が有利なことはわかりました。

〇望遠鏡の準備
博物館の60㎝のほうはたぶん問題なしで、他の移動ポイントを1点設けないといけないということですが、私自身特定の微光星を入れるとういのは長いことしたこともなく、一度入れた星をなくさない為の正確な極軸合わせの自信が、ありませんでした。そんな時に喜多さんがスカイセンサー(自動導入)付のEM200をお持ちで、PCとの連携で導入追尾は問題ないとのお話をお聞きし、是非参加してくださいと。半分強引に引き込みました。快く引き受けて頂き感謝しております。喜多さんのEM200架台と、博物館のミューロン250。洞口さんのもってこられるカメラで一応、1月ほど前に機材の目途はたちました。

〇観測
事前観測の時に、ある時間帯、それも観測時間に近い時間帯に追尾が止まってしまう不具合がわかり、架台のギヤの遊びがあるのではないかと、当日はわざとバランスを崩して設定しました。導入調整に案外時間がかかりましたが、2時間ほど前にほぼ完了し、カメラの微調整をしている洞口さんと時間を待ちました。私は横でいただけです。
30分前くらいでしょうか。急に洞口さんから。「追尾が止まった!」との声に、まず喜多さんとバランスをもっとウェート側狂わせるよう重くしました。数分うまく動いていたのですが、モーターは動いているのにまた止まり、今度は、鏡筒側を重くしました。これで追尾はできるようになりました。ただ、10分ほどたって、今度は「南北にかってにずれる!」との声に、軽く鏡筒を押してみると、大きく赤経方向のあそびに加え、赤緯方向にも少し遊びがあることが分かりました。構造の問題でクランプを締めても変わりません。時間が迫っている中、首にかけていた双眼鏡を望遠鏡に吊るし赤緯方向のバランスを崩すことで、なんとか南北方向のずれもなくなりました。
ちゃんと、追尾できるようになったのですが、今度は数分前になって「感度が落ちてきた。星が見難い」ということで、電源や周辺機材に問題はなさそうだし、もう間に合わないので、そのまま待ちました。洞口さんから。時間が過ぎた!見えなかった。との声にがっくり。終わった後、筒を覗き込んでも主鏡は露で曇ったりすることもなく、ただ、懐中電灯斜めから照らすと、主鏡にうつった副鏡が霜で白くなっているのが分かりました。これが原因です。
掩蔽がおこる時間帯と星に対する望遠鏡の向きが、日頃喜多さんも気がつかなかった機材の遊びや、ミューロンの露のつき方の“魔のポイント”であったということが、このドタバタ劇を生んだものと思います。

〇後記
今となっては、この測定点はそれより内側の測定点での観測で不検出でしたので重要性はなくなりましたが、必要な観測点として準備してきました。今回は失敗でしたが次回は、事前準備と経験によって、成功したいものと思っております。ただ、個人的には楽しめました。
多くの知識も得られましたし、次々の問題発生も、単調になりやすい観測準備時間が(不躾ながら)テンション上がりました。


喜多 優行(南限と予測されていた天体望遠鏡博物館の南に位置する観測地で白川氏と観測)

国立科学博物館 洞口俊博先生と博物館理事 白川博樹様と博物館の南、まなべモータース展示場で観測。機材はミューロン250、EM200。

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前日入りした洞口先生にあらかじめマーキングしておいた恒星の写真を見ていただき、ターゲットを博物館駐車場で補足。望遠鏡の結露もなく、バッテリーも十分容量があり、血圧150くらいのテンションでリハーサル終了。観測現地を確認し、準備万端…のはず。
帰宅道中の三日月がとてもキレイ。

当日は最高の観測日和、天の川がいつにも増して明るい。舞台は整い開演時間までいましばらく。
私はというと血圧170くらい、浮き足立ちまくり本番に臨む。
観測地に到着すると前日は消灯していた街灯が煌々と…早速リハーサルと違う!
うろたえる私に冷静な白川さんが制御盤の入った制御ボックスを勝手に開ける。いいのか?そんなことして。当然、何がどうなっているかは誰もわからない。途方に暮れようとしようとしたところいきなり消灯。どうやらタイマーが作動したようだ。
一抹の不安を抱え機材をセット、ターゲットを捕捉…できない!
昨夜はここにいたはずなのに…ファエトンはどこへ消えた?
このとき洞口先生の血圧は170以上あったはず。
「おかしい」という呪文をひたすら唱え、ついにターゲット捕捉!
3人の肩に重くのしかかっていた「何か」を降ろしホッと一息。
あとは捕まえた尻尾を逃さないようにカメラを調整…
PCに表示されたわけのわからん画面とにらめっこする洞口先生の真剣な表情に圧倒される。
準備完了、本番まで機材の監視をしているときに、温かいコーヒーとお菓子の差し入れが。満点の星空の下、いただいた気遣いは最高の味。サポートスタッフに感謝。舌鼓をうつ私を尻目にチェックを続ける洞口先生。プロフェッショナルとはかくありきかと鳥肌が立つ。
「星像が微妙にぶれる」と、なるほど上下に振れている。根拠もなくPECをオンにするとやや改善。本番までもう少し…と、洞口先生から「星を追尾していない」。私のバイタルは血圧190、脈拍90くらいか?冷静な白川さんが赤緯体を支えると現象は消失、原因は極軸体にとんでもないガタがあったこと。
カメラ側に手持ちの双眼鏡をウェイトとしてぶら下げると見事に安定、さすが冷静な白川さん。トラブルはこれで終わり…とはいかない。
洞口先生から「なんだか像がボヤけている」と。私のバイタルは血圧200、脈拍100くらいか?なんとなく嫌な予感。困った時のドラえもん、いや、冷静な白川さん。ポケットからひみつ道具が…出たら良かったのですが。主鏡はキレイだし、念のため鏡筒にヒーターを取り付けて様子見。洞口先生はなんとか逃さないようカメラの設定を調整するも…
ここにきての観測断念は笑点で座布団全部持って行かれた気分…言葉なし。

感想
像がボヤけた原因は副鏡の結露。オンラインで打ち合わせたときにあれだけ結露対策について話されていたのに、と悔やまれます。
一方、私の理解できない会話や意見交換が飛び交う打ち合わせ、背伸びしても届かないハイレベルな研究の世界、現場でしか感じることのできない風を五感で感じる機会をいただけたのは幸運としか言えないです。白川さんのお誘い、村山代表理事の後押し、洞口先生のご支援無くして得られない貴重な体験でした。「見ないと始まらない。見ようとしないと始まらない。」中世のヒゲボウボウのおじいさんの言葉が心に響く経験でした。今回、ご迷惑をおかけした全ての方々に感謝いたします…なんだか日本語がおかしい…。


多田光里(香川県内各地の観測チームにエール)

夕方、博物館に到着。取材のための準備風景を見学。その後、綾川町運動公園へ移動。

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岩手からお一人で来られた野田さん、香川県で観測場所などのお世話をされてた山下さん西山さん(?)にお会いしました。その後、野田さんの準備をなるべく離れて見学(感染拡大防止)。途中から成行さんも様子を見にこられました。目標星が無事に導入されたところで観測に集中していただくためにも辞去。(野田さんに張り付いていたら掩蔽が確認できたはずでした。ちょっと残念。)
博物館に戻り、杉本さんとマナベ自動車チームにおやつの差し入れに行きエールを送ってきました。
再び博物館に戻ってからは大宇陀様(60㎝反射)と五藤25㎝屈折を行ったり来たりしてその時を待ちました。
堀川さんのカウントダウンで掩蔽観測開始。
観測終了後は森さんに五藤25㎝屈折で星空散歩していただき杉本さんと楽しみました。マナベ自動車チームが引き上げてきて、洞口先生の解析速報をお聞きして薄明になる頃に退散、帰宅。

感想
台風一過から連日の快星に恵まれ、たくさんの観測地点からも無事にデータが集まったそうでよかったです。観測成功おめでとうございます。観測隊の周りをうろうろしてただけですが快星観測のお裾分けをたくさんいただきました。ありがとうございます。残念だった夏を取り返すくらいの星空散歩をゴトー屈折25センチで楽しみ、たくさんの流星も見ることができました。
天体望遠鏡博物館の大宇陀様(60㎝)のモニターを見守った結果は……肝心なときに車が通過したためライトが眩しくて私はよくわからないままでした。
でも、中央線上の観測地点からはっきりした点滅を目視された方の嬉しい電話報告があったので私も気分上々です。確かに掩蔽という現象があったんだと思えました。今回、事前に何度も機材の調整や情報交換などが行われて観測担当の方々やサポートされる方々、地域の皆さんのご協力……ホントにお疲れさまでした。コロナ感染拡大防止のため博物館スタッフ以外の方との交流はほとんどなかったのですが、日々送られてくるちんぷんかんぷんなメールの内容を調べ追いかけて楽しかったです。今度は掩蔽の目視確認を体験してみたいです。この度はありがとうございました。


杉本 綠(天体望遠鏡博物館を拠点にしたチームにエール)

当日は朝から観測見守隊として参加させていただきました。
パソコン画面の時計が2時を過ぎた6分間ほどは、皆既日食を待ちわびた感覚に似ており、一瞬を見逃さないという緊張感があり、携帯の録画をやめて、パソコンの画面に集中しました。掩蔽(微かな画像の点)が消えず、拍子抜けした感はありましたが、どのような分析結果が出るのか、その後にも楽しみが増えました。本当に臨場感を味わえて楽しかったです。ありがとうございました。ちゃっかり四国新聞の写真に載せていただいております、恐縮の限りです。
宇宙の謎が解かれていくのはこの様な地道な作業の積み重ねの結果と実感しました。引き続きDESTINY⁺を見守っていきます!。


永田利博(図-色の線:永田利博)

私は、和歌山湯浅町へ山村(チームリーダー)さんと行きました。有田川町金屋テニス公園に17人が集まり、打ち合わせをして、私は湯浅町田村漁港岸壁 L5(東経135°08’50.8”北緯34°03’14.8”標高2m)の地点を1人で受け持ちそこへ移動しました。

田村漁港岸壁で観測中
観測機材:C14、自作経緯台(スカイセンサー2000PC駆動)、カメラZWO ASI178MM、ノートパソコン2台

20211003Ast_(3200)Phaethon_frame_Nagata_Mon
観測結果:減光開始UT17h03m09.901s±0.010s/減光終了UT17h03m10.469s±0.007s/減光継続時間 0.561s
2年前、北海道、山形と2回行ったのですが天気が悪く出来ませんでした。今回快晴に恵まれて減光を確認した時は感動しました。今回も事前練習用の観測が天候不良の為直前に1回だけしか出来ず久しぶりの掩蔽観測なので不安がいっぱいでした。今回35㎝のC14を使ったのですが、シャッタースピードが思ったより上げられませんでした。20ms程度を予定していたのですが星像が安定せず、30ms程度でしか出来ませんでした。20㎝クラスでも30msほどで撮影出来ていたので、大きい口径が良いということは無いようです。


後藤干城(和歌山の観測チームと同じ観測地)

50cm反射_Phaethon

私は大阪在住のため、香川県での観測隊参加は諦めていましたが、掩蔽観測には非常に興味があったので個人的に観測を行おうと観測可能な和歌山の山中に出かけることを計画してました。
そうしているうち、直前になって和歌山の天文仲間からお誘いがあり、有田川町の金屋テニス公園で一緒に観測することになりましたが、なんとそこは和歌山での観測隊の集結場所とのことで、近畿及び周辺から集まった観測隊メンバーの方々ともお会いすることができました。総勢18名ほどが集まり、打ち合わせの後、周辺の担当観測場所に散って行きました。
私の観測場所では地元和歌山のメンバーと3台の望遠鏡に分かれて観察を行いましたが、結果的にその場所が今回の観測隊の中で掩蔽が観測できた北限で、あと100mほど北であったら掩蔽が観測できなかったというギリギリの場所であったようです。
この小惑星の形状を推定するのに重要なデータとなりそうということを聞き、驚いてます。掩蔽の瞬間はその会場で最大の望遠鏡である口径50cmの反射からモニターに映し出される映像を他のメンバーと一緒に観察していました。この場所では、わずか0.25秒ほどの消失時間であったので、一瞬の出来事でした。実は、ほとんどのメンバーが見逃し、録画で確認できた次第でした。私の持ち込んだ望遠鏡による観測では今回の観測に必要な精密な掩蔽時刻取得はできなかったのですが、掩蔽の瞬間の映像はキャッチすることができました。全くの偶然ですが、現地会場で最も北側に私の望遠鏡を置いて観測していたので、私が得た映像が最も北側端で得られた掩蔽ということになりました。

Phaethon_image


 

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