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9月11日の星空案内

[天文現象] スケジュール:2021/09/11
更新日:2021/08/29

9月11日(土)に予定されていた天体望遠鏡博物館での夜間天体観望会はコロナウィルス感染症拡大防止のため開催中止になりましたが、星空は地上の出来事に関係なく輝いています。天気の良い日に、ご自宅やお出かけ先で星空をお楽しみ下さい。
参考までに9月11日観望会のために用意していた「星空案内」を掲載します。

0911_3上の円形の星空図は,9月11日午後8時頃の香川県での天空全体の様子を示したものです。
 ※上下左右に記してある方角を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。

 この円形の星空図と少しにらめっこしてみてください。さそり座,夏の大三角などの夏の星たちの並びはセンターから右(西)寄りに。東寄りには,ペガスス座,アンドロメダ座,カシオペヤ座などの秋の星座たちが見えてきています。
 ちょうど,夏の星空から秋の星空にバトンがわたっていく感じですね。そう,9月はそんな時期。夜の早いうちは夏の星々がまだまだ主役なのが,じわじわと秋の星座にうつりかわる。まあ,両方の星空が楽しめるおいしい時期だといえるかもしれません。

 それでは,見てくれ!と言わんばかりに威光を放っている木星と土星。最初はこの両惑星の紹介から進めていきたいところではありますが,この夜は西空に細い月が見えています。とりあえず先にこの月を見ておかないと沈んでしまいます。そんなわけで,まずは細い月から。

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 上の写真は観望会当夜(9月11日)と同じ月齢4.4の月です。この写真は,口径(レンズの直径)が7cmほどの小さな望遠鏡で撮影したものです。月は小型の望遠鏡でもよく見え,よく写る天体です。
 小さな望遠鏡でも,欠け際付近のクレーターがとてもコントラスト良くシャープに見えます。天体望遠鏡で,その欠け際を南(下)から北(上)へ,詳しく観察してみてください。光っている部分の少ない細い月ではありますが,クレーターの内部や輪郭など,迫力ある様子を見ることができると思います。また,クレーターの少ない『海』と呼ばれている部分も見ることができます。低倍率で月の全体像を,倍率を上げて表面の詳しい様子を楽しんでみてください。
 惑星に負けないほどの衝撃的なイメージを味わえることは間違いないと思います。

 観望の好期が続く木星と土星
 まずは,一番明るく光っている太陽系最大の惑星である木星。

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 望遠鏡で木星を覗いてみると,明るく丸い木星本体に数本の縞模様が見えてきます。この縞模様,何本見えるでしょうか?ちょっと数えてみてください。
 天体望遠鏡は,レンズや鏡の直径が大きな望遠鏡ほど細かい模様が良く見えるとされています。観望会で準備された大小様々な望遠鏡の見え具合を,縞模様の数や見え具合を元に見比べてみるのも,けっこう楽しいかもしれません。
 大きな望遠鏡で木星を見ると,この縞の近くにトゲトゲのような,凸凹のような細かい模様も見えてくるときがあります。慌てないでじっくりと観察して模様の詳細も確かめてみてください。
 また,木星本体のすぐ近くに目をやると,小さな光点が4つほど見えると思います。この夜は,木星の左側(望遠鏡により左右が逆になる場合があります)に4個。この4つの星は,ガリレオ衛星とよばれる,木星の衛星の中でも特に大きくて明るいものです。木星本体に一番近くに見えている衛星はエウロパ。内部に膨大な量の海水があるといわれている衛星です。木星に近い方から3つ目の衛星は太陽系最大の衛星ガニメデ。ガニメデは惑星の水星よりも大きな天体です。

 木星の大きさは地球のおよそ11倍。そして10時間ほどで一回転します。地球は24時間で一回転。ということは,地球の11倍の巨大な惑星が地球の2倍以上の猛烈な速さで自転しているということ。そのため,生じた遠心力で赤道付近が膨らんでいるんです。良く観察してみてください。木星は上下(南北)の縦方向よりも左右(東西)の横方向の方に膨らんで,やや楕円形に見えてるはずです。

 その木星のすぐ西(南に向かって右)に目を向けると一等星レベルの明るい星が見えています。太陽系第6番目の惑星である土星です。木星は地球の11個分ほどの大きさ。それに比べて土星は若干小さ目ですが,それでも地球の9個分の大きさを誇る大きな惑星です。また,輪っかのあることで有名で,観望会ではいつも人気No.1の天体でもあります。天体望遠鏡を使うと,その輪っかも明瞭に見ることができます。本当に神秘的なその姿をじっくりと味わってみてください。

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 輪っかは,小さな氷や小石からできていると言われています。
 この輪っかは年によって傾きが変わって見えますが,今季はちょうど土星らしい傾き具合で見えているような気がします。
 土星本体のそばには,木星ほど目立つわけではありませんが,いくつかの衛星も見ることができます。望遠鏡で見える土星の衛星の中で一番明るいのはタイタンとよばれる衛星です。タイタンは木星の衛星ガニメデに次ぐ太陽系で2番目に大きな衛星で,液体の湖の存在が確かめられていて,生命の存在もうわさされている天体でもあります。そんなこともイメージしながら望遠鏡を覗くと,宇宙の不思議さをより一層感じることができるかもしれませんね。

 続いて,惑星から星座や星雲星団の方に目を移しましょう。
 夏の星座から秋の星座への移り変わり。
 少し首が痛いかもしれませんが,真上を見上げると天頂からやや西寄りに,夏の大三角が見えています。夏の大三角は,こと座のベガ,はくちょう座のデネブ,わし座のアルタイルの3つの一等星を直線で結んでできる三角形をいいます。けっこう大きな三角形です。

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 この夏の大三角を見つけることができたら,どの星がベガで,デネブで,アルタイルなのかを特定してみましょう。
 星空を観察する場合,方角を意識することがとても大切です。まずは南北方向,東西方向を確かめておきましょう。上の図は南が下になってます。すなわち一番南にあるのがアルタイル。西にあるのがベガ。残る一等星がデネブです。そして,よく見るとベガとアルタイルの間を北から南へ天の川が流れているのがわかるかもわかりません。(※空の澄み具合によって見えないこともあります)うっすらと煙のように,あるいは薄雲のように見えるでしょうか。

 夏から秋の星空が両方楽しめるおいしい時期。続いて,星雲や星団の中から代表的なもののいくつかをピックアップして紹介していきましょう。

☆★散光星雲
 比較的広い範囲に広がったガスや宇宙塵が様々な理由で発光して見えている天体

M8
 いて座の天の川の中にある散光星雲。写真に写すとピンク色に写ります。よく見ると,散光星雲と散開星団が寄り添っているのがわかります。
※距離は3,900光年

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☆★球状星団
 恒星が互いの重力の作用で球状に集まった天体。多くは銀河の周辺部に存在します。

M13
 ヘラクレス座にある球状星団。恒星の数は50万個以上。北天で最大サイズの球状星団で,全天一の美しい球状星団ともいわれています。
※距離は25,000光年

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☆★惑星状星雲
 超新星爆発をせずに一生を終えた恒星が,ガスを放出して,中心に残された星からの紫外線に照らされて輝いている天体。
 
M57
 こと座にある惑星状星雲。リング状に見えるため,『ドーナツ星雲』とよばれています。
※距離は2,600光年

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☆★散開星団
 ほぼ同時期に誕生した星々が,比較的近い領域に集まってる天体

ペルセウス座二重星団(h&χ)
 カシオペヤ座のw形の近くにある見事な散開星団。双眼鏡でもよく見える星団です。倍率は低めの方が隣接する2つの星団の全体像が見渡せることもあり,見た印象は良い感じがします。
※距離は1,400光年

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☆★系外星雲
 天の川銀河(銀河系)の外にある銀河(島宇宙)

M31(アンドロメダ座大星雲)
 アンドロメダ座にある系外星雲。肉眼で見える最も遠い天体。倍率は低めの方が全体像がわかりやすい。渦巻きにはなかなか見えませんが,見かけの大きさは満月の約5倍ほどもあるビッグな天体です。
※距離は230万光年

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<注>
 星雲星団の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。Mは観測者メシエのMです。

☆★今回の観望会で見てみたい天体リスト
 細い月,木星,土星,
 ベガ,アルタイル,デネブ,アンタレス,
 さそり座,こと座,はくちょう座,わし座,
 夏の大三角,天の川,
 M8,M13,M31,M57,二重星団(h&X),
 アルビレオ 他

月明かりの影響の少ない夜は,多くの星雲星団がとてもよく見えます。上に紹介した星雲星団以外にも,見ておもしろい天体がたくさんあります。

 例えば
  ☆M17・・・いて座にある散光星雲
         湖を泳ぐ白鳥のように見える・・?
  ☆M22・・・いて座にある球状星団
         M13より迫力があるかも。
  ☆M27・・・こぎつね座にある惑星状星雲
         銀行の地図記号に見えるといううわさ。
  ★アルビレオ・・・はくちょう(座)の口ばしにあたる星
         オレンジと青の組み合わせがとても美しい二重星
  ★こと座ε(イプシロン)星・・・二重星が二重になってる?ベガの近くにあります。
         通称『ダブルダブルスター』
  ◇南斗六星・・・北斗七星とどう違う?さて,何座にあると思いますか?
  ◇いるか座・・・かわいい星座かも。

 いろいろな天体の観望をぜひお楽しみください。

※HP中の星図,星座絵図は,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。
 天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときの見た感じに近いように若干の加工をしてあります。
 円形星空図,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。

 

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