香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
2015年9月18日、徳島県の武田憲昭様から寄贈されたアストロ光学の150㎜反射赤道儀 LN-6Eです。
武田様からのお話によると小学校5~6年生の時(1967年~8年)にお父様に買っていただいたものだそうです。徳島大学教育学部付属中学校時代には天文クラブに入部し、学校やお寺での観測合宿にはこの望遠鏡をお父様にクルマで運んでもらって使っていたそうです。
中学3年までは夢中で天文活動を行っていましたが、その後は進学のため天文活動を中止され、徳島に戻られてからもお仕事がお忙しく約35年間この望遠鏡は、倉庫でねむっていました。天体望遠鏡博物館での再活用を願ってこの度の寄贈となりました。
写真は倉庫で保管されていたときのものです。35年経過していても、機械可動部は問題なく作動しており、メンテナンスすれば十分、実用できる状態です。
口径:150㎜ 焦点距離:1300㎜ F8.7
フアインダー:40㎜ 12倍
筒内の迷光防止のつや消し塗装も筒先の一部に痛みがありますが、奥の部分はあまり痛みがありません。主鏡メンテナンス用の扉がついていますので、主鏡の状態確認がすぐにでき、埃などの付着もブロアーで清掃することができます。
運搬のため、バランスウェイトをウェイト軸から取り外しています。
ウェイト軸は全ネジタイプです。
ポール脚と赤道儀架台部は、単に差し込むだけでなく、ネジ込むようにねじ切り加工されています。
さらに回転防止のためにボルトで固定するようになった手の込んだ加工です。
赤経はモータードライブ駆動です。100VのAC電源仕様。
ビル5階から安全に運搬するために、ポール脚まで分解したところです。
ちなみにこの日、運搬に使用したクルマはトヨタ ヴィッツでしたが、鏡筒を後席のシートベルトで固定し、ポールなどの重量物はクッションに包んで後席床に、赤道儀は助手席床にそれぞれ積み込むことができました。
9月19日、天体望遠鏡博物館に運び込み、清掃、組み立てを行いました。
続けて、主鏡の状態を確認するために洗浄を行いました。
まずはセルから取り外します。
洗浄前の主鏡です。曇りがあることがわかります。
お湯につけて汚れを浮かせます。
「泡で出てくる弱酸性ビオレ」で鏡面に指がふれないように、泡で洗浄していきます。
この日はちょうど、特殊ガラスメーカーの方が見学においでになっており、洗浄を行って下さいました。
周辺部の汚れまでを完全に落とすことはできませんでしたが、実用には十分な程度に洗浄できました。
エチルアルコールで洗浄し、水分を飛ばしました。
セルに組み込みます。
これで、初期メンテナンスができました。
次回は機械部分の錆おとし、グリスアップです。