香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
このミザール ニューアポロ型屈折赤道儀は2016年10月に岡本様から寄贈されました。アポロ11号月面着陸に沸いた1969年12月に福岡市のデパートでお父様に買ってもらったそうです。
購入時、岡本様は中学2年生で、後に職業となる宇宙開発エンジニアに進むきっかけになった思い出の望遠鏡です。学生時代は天文サークルに所属し、合宿などあちこちに持ち歩いたので外装は傷だらけになったということです。また岡本様は長野県清里に天体愛好家仲間が共同でつくった「清里天体観測所」のメンバーです。
2016年10月に清里天体観測所のアスコSX260PWが機材更新のため、天体望遠鏡博物館に寄贈されることになりました。思い出深いミザール ニューアポロ型屈折赤道儀を永く保管し、また次世代の宇宙少年育成に役立たいと願いこの望遠鏡も天体望遠鏡博物館に寄贈されました。
ミザール ニューアポロ型屈折赤道儀(後期型)
口径68㎜ 焦点距離1000㎜ 口径比14.7
ドイツ式赤道儀
総重量 16.5㎏
ミザール ニューアポロ型屈折赤道儀は1969年から販売開始し、1980年頃に終了しています。
1969年から1975年ころが前期型
1976年から1980年ころが後期型
当時のミザール製屈折望遠鏡のフラッグシップ機です。口径が60㎜ではなく68㎜というのが、ワンランク上であることを感じさせます。
口径68㎜のアクロマートレンズはまだまだ元気のようです。セルに光軸修正装置がついています。
接眼アダプター:1971年ころにドロチューブにとりつけるネジ山を破損し、ミザールの純正品と交換したそうです。そのため塗装がここだけ梨地になっています。
ニューアポロ型を示す D=68㎜ F=1000㎜と印刷されたシール
ドロチューブ 年代相応のメッキの傷みはありますが実用には問題ありません。
ファインダーは口径30㎜ 倍率10倍 岡本様ご自身で再塗装したそうです。
ファインダーのピント調整は接眼側をネジタイプにし回転させる方式です。
鏡筒バンドは開閉式ではなく、鏡筒を差し込んで所定の位置でネジ止めする方式です。前期型の特徴の一つです。
赤緯の微動はタンジェイトスクリューによる部分微動です。初期型は赤緯フレキシブルハンドルが鏡筒と直角方法に伸びています。
高度調整の微動装置はありません。また前期型は三脚架台部と赤道儀本体が一体になっています。極軸を垂直にすることができるようですから、経緯台形式にもなるはずです。
バランスウェイトは1個です。カメラ雲台のカメラネジが欠品していたので予備部品を取り付けました。
三脚架台部と三脚の取り付けは、三脚架台部の穴に蝶ネジを通すタイプです。
付属品:H20アイピース/2倍バーローレンズ/ムーングラス/Y2フイルター(月面撮影用)/直焦点・拡大撮影装置(商品名:新星アダプター)/キャノンFDマウント用とペンタックスPマウント用カメラアダプター
*鏡筒を他の赤道儀に搭載するためのミザールAR用鏡筒バンド(タカハシ製赤道儀に搭載できるように穴あけ加工)