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ミザール カイザー型80㎜屈折赤道儀(8台)

ブランド: ミザール
光学系: 屈折
口径: 80mm
焦点距離: 1200mm
架台形式: 赤道儀
年代:
備考: 2014年4月神戸市 個人様、2014年8月徳島県 内海様、2014年12月高松市 Y様、2015年3月香川県立坂出高校様、2016年5月 横浜市 唐内様、2016年10月 徳島県 濱口様寄贈 会員より2台

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ミザール カイザー型80㎜屈折赤道儀
口径:80㎜ 焦点距離:1200㎜ F:15 架台:ドイツ式赤道儀 重量28㎏
1970年代後半から1980年代のミザール製屈折望遠鏡のフラッグシップ機

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対物レンズは80㎜フラウンホーフェル型アクロマート
(レンズ写真はメンテナンス前)

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当時の大型望遠鏡に採用されていたハンドル式焦点装置をアマチュア用小型望遠鏡に採用

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ドロチューブは二段式

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ファインダーは1970年中頃当時の8㎝屈折用としては大型な40㎜(倍率15倍)

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ドイツ式赤道儀の赤経ウォームギア歯数180枚

この望遠鏡が欲しかったという方は多いのではないでしょうか。
天体望遠鏡博物館には会員が収集していた2台に加えて、
2014年4月に神戸市の個人様、
8月に徳島県板野町の内海様、
12月に高松市のY様
2015年3月に香川県立坂出高校様
2016年5月に横浜市の唐内様
2016年10月に徳島県の濱口様からの寄贈があり
2016年10末現在、カイザー型が8台収蔵されています。いずれも保存状態が良く、実用可能です。

現在の8㎝クラスの屈折望遠鏡と比較すると、とても大きく見えます。やはりF15焦点距離1200㎜というアクロマートレンズの基本に忠実な口径比でつくられた長い鏡筒、直棒の背の高い三脚、4㎝と思えないくらい大きなファインダー、ゴツゴツとした赤道儀と2本の長いフレキシブルハンドルが堂々とした望遠鏡の姿に見せています。

この望遠鏡は指導者がついている場合は中高生の教育用望遠鏡(望遠鏡の仕組み・手動微動装置を使った日周運動の体感など)として適した望遠鏡ですので、今後も収集を進める予定です。


2014年4月12日、神戸市・個人様から寄贈された時の様子

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2014年4月12日、神戸市のご家族から、ミザールカイザー8㎝屈折赤道儀一式寄贈のお申し出があり、当館会員がご自宅まで受け取りに伺いました。

写真はお子様(桜ちゃんと椛ちゃん)が、この望遠鏡の組み立てられたところを見たことがないとのことでしたので、組み立てて、記念撮影したものです。

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写真 上:桜ちゃん

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椛ちゃん(もみじちゃん)/昼間でしたので山の新緑の葉を見てもらいました。カイザー寄贈201404_413 849a0a0830f2c56a9097a98afadb8c02[1]

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天体望遠鏡博物館が開館したら、ぜひ来てくださいね。
夏休みの自由研究のお手伝いしますよ。

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最初のオーナー(寄贈者のお知り合い)が作ったアイピースケース。
とても大切に使われていたことがわかります。
私たちも大切に使わせていただきます。


2014年8月 徳島県・内海様からの寄贈 ミザールカイザー

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内海様は、中学生からの天文ファンで、子供の頃に欲しかったミザールカイザーをオークションで入手されました。お仕事の都合でマンション4階に引っ越しされ、上げ下ろしが大変ということで、天体望遠鏡に寄贈されました。すべてのパーツが揃っています。


2014年12月 高松市のY様からの寄贈 ミザールカイザー

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見学者に手伝ってもらい組み立てています。

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バランスウェイトシャフト、ウエイト、三脚開き止め、ファインダー脚が不足しています。

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予備パーツをつけて完成させました。

寄贈者様は就職されてからお忙しく、なかなか望遠鏡を組み立てての観望ができないとのこと。
ミザールカイザーを活用してくれる施設を探していたところ、天体望遠鏡博物館が開館準備をしていることを知り、寄贈されることになりました。


2015年3月23日香川県立坂出高校様からの寄贈 ミザールカイザー

香川県立坂出高校校舎屋上のドーム内にあったミザールカイザーです。

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校舎屋上ドーム 校舎が耐震基準を満たしておらず取り壊されることになりました。

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ドーム内には西村製20㎝ニュートン式反射赤道儀が設置されています。
ドーム内は高床式になっており、ミザールカイザーも保管されていました。

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搬出時の状態です。使われなくなってから、かなりの年数がたっているらしく、埃がたまっている状態でした。

2015年4月5日 応急処置を行いました。

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フード内にも、埃がたまり、錆が浮き出ています。

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洗浄したところ、ほこりと錆はほぼとれましたが、艶消し塗装もはがれました。

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レンズもかなりの埃でしたが、カビは大したことなく、流水と泡石鹸でますまずきれいになりました。
写真でわかるようにニュートンリングが中心からはずれた位置に発生しています。対物レンズの前玉と後玉の設置位置が狂っていることが解ります。レンズの摺り合わせ位置に調整が必要なのか。レンズ間のわずかな隙間を調整する箔が薄くなってしまっているために発生しているのかを確めて、修正することになります。

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接眼部 ドロチューブなどに汚れとメッキの劣化があります。

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まずは汚れを落とします。

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汚れはとれましたが、メッキの劣化による腐食は進行をとめるだけしかできません。

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ファインダーは対物レンズとヘリコイド式焦点調整部の洗浄を行いました。

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古いグリスと埃が固化しており、ハブラシに合成洗剤(マイペット)をつけてこすり落としていきます。

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ファインダーの対物レンズは、流水洗浄できれいになりました。

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ウェイト、ウェイトシャフトは錆がかなり出ています。

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ウエイトシャフトの錆をサンドペーパーで落とします。

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赤道儀は黒塗装されているところは、汚れ落としとタッチペイントで済みそうですが、ネジ類は錆が発生しており、分解して、錆取りの専用洗浄剤につけ込むか、部品交換になります。今回は応急処置なので、汚れ落としのみで済ませることにしました。

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高度クランプは青錆です。

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ウェイトそのものは、かなりきれいになりましたが、留めネジの錆びが落とせていません。

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三脚の開き止め棒も錆はありますが、機能上の問題はありません。

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鏡筒バンドの開閉用ネジです。メッキを落として、クリアー塗料で錆び止めするか、メッキ風の塗料で塗装するか、メッキ工場に依頼して再ネッキするかを検討します。

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フレキシブルハンドルのプラスチック製のにぎり部分は洗浄で簡単にきれいになりましたが、金属部分は錆を落としきることが困難でした。

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本体鏡筒接眼部、ファインダー接眼部ともにピント調整できるようになりました。

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機種表示シールは剥離してしまいそうなので、表面の拭き取りだけにしました。

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赤緯軸の微動用フレキシブルハンドルが欠品していますが、一応の応急処置は終えました。メッキ面のメンテナンスや、対物レンズの再調整は、天体望遠鏡博物館の望遠鏡工作室の整備後、行うことにします。 


 2016年5月7日 横浜市 唐内様からの寄贈 ミザールカイザー

このミザールカイザーは、唐内様のお父様が中学入学記念に買って下さったそうです。

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収納されている状態です。ミザールカイザーは鏡筒と三脚が木製保管箱、
赤道儀、ウェイト、ファインダー、フレキシブルハンドル、三脚開き止め、
アイピースなどがダンボール箱に入っています。

 

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組み立ててみました。

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赤道儀に傷みはありません。このまま観望会に使える状態です。

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取り扱い説明書、下げ札も保管されていました。

 

 


 2016年10月8日 徳島県の濱口様から寄贈のカイザー

 

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仮組立してみると、全体的にはきれいですが、フレキシブルハンドルに保管箱内の発砲スチロールが溶けて貼り付いているなど、メンテナンスが必要なのがわかります。

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8㎝対物レンズをセルごと取り外してみると、ほぼ全面にカビが発生しています。しかし奥深くまで浸潤しているようではありませんでしたので、すぐに除去することにしました。

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カビはアルコール系を最初に使うよりは精製水で除去できないかをまず試します。

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前玉と後玉の間にカビがあると分解が必要になりますが、前玉前面だけのカビであったため、簡単に除去できました。

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レンズセル周りを清掃し、カビがレンズに再付着しないようにします。

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鏡筒に取り付けます。レンズとレンズセルはきれいになりました。

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フード内に薄くですがカビがあるのがわかります。

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フードキャップにもカビが見受けられます。このままではレンズにカビが付着してしまいますので、洗浄することにしました。

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少々、大胆ですが、殺菌用石鹸で洗浄します。フード内側はつや消し塗装がはがれないように、直接、指はつけないで、泡で洗う感覚です。

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水洗いしたあと、日光にあて乾燥兼消毒効果をねらいます。

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フレキシブルハンドルに発泡スチロールが貼り付いています。機能上の問題はありませんが、できれば除去したいものです。

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両面テープはがしを使って、取り除きました。

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ファインダーの光学系はきれいです。ドロチューブのグリスが経年劣化していますが実用には問題ないレベルです。

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赤経ウォームホイールはまるで新品のようです。

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これで観望会で活躍してくれるでしょう。

 

 

 

 

 

 

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