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五藤光学 15㎝屈折赤道儀(観音寺中学校)

ブランド: 五藤光学研究所
光学系: 屈折
口径: 150mm
焦点距離: 2250mm
架台形式: 赤道儀
年代:
備考: 観音寺市教育委員会

観音寺中学ー3

観音寺中学ー2

観音寺中学校は琴弾公園の中にあって、近くには銭形の砂絵「寛永通宝」が観られる自然環境に恵まれた地域に位置しています。この望遠鏡は1970年代に、その当時観音寺中学校の鉄筋コンクリート校舎への建て替えの折に、地下部分1階を含み4階建ての実質地上部5階建ての校舎屋上に設置されました。レンズは口径150mm f2250mmのアクロマートです。設置された後、長年にわたって、観音寺中学校において、理科の授業、天文部の天体観察に多いに貢献されたものです。

観音寺中学ー7

それからおよそ40年の年月が過ぎ、2010年度より開始された観音寺中学校の校舎耐震及び大規模改修工事に伴い、その役割を終えるとの情報が同じ観音寺市の他の学校の校長を務めていた当館の会員に伝わってきました。その会員が中心となって所管する観音寺市教育委員会と連絡を取り、回収許可を得ることができました。

観音寺中学ー4

観音寺中学ー1

 

事前調査の後、1回目の回収作業は、2010年10月2日(土)に行いました。この日はクレーンを使用する2回目の回収作業時に、光学系を傷めないようにするため、メインスコープとサブスコープの鏡筒部分の解体・回収を行うことにしていました。主鏡鏡筒は1本の筒からなっているのではなく,中央部が赤道儀の赤緯体に固定されており,対物側と接眼側の部分に分けて組み立てられていました。全て金属加工された部品は,一つ一つ丁寧に組み立てられており分解,回収を行いながら,当時の担当者の方々の意気込みと誠実さをひしひしと感じ取ることが出来ました。また周辺パーツの紛失をさけるため、ウェイトなど取り外せるものはすべて取り外し、人力で階下に運びました。昭和20年代に製作されたと思われる五藤光学3インチ単軸赤道儀式屈折望遠鏡も回収ができました。

観音寺中学ー5

観中ーめずらしい望遠鏡

2回目の回収作業は,校舎の解体および耐震工事を請け負っておられる合田工務店さんと当館の代表理事の村山が何度も綿密な打ち合わせを行い、2010年11月27日(土)に行われました。この日は,赤道儀部分と,ドームを回収することになっていました。合田工務店様のご協力をいただき,大型クレーンを使って,赤道儀本体とドームを吊っておろしました。先ず,FRP製ドームを下ろします。しかし,近年は殆ど活用されてなかったようで,回転部分とレールの部分がさび付いていたり,スリットも同じように動かなくなっておりました。もちろん,電動でしたが,モーターも動きません。レールから回転部分を外し,何とかつり下げていただき,下ろすことが出来ました。

観音寺中学移設_003

観音寺中学移設_002

そして,赤道儀本体ですが,こちらも,つり下げて下ろすとなるとバランスをとって,どのようにつり下げるかが難しいところです。しかし合田工務店の現場監督さんの実に手際の良い仕事で,バランスを考えてつり下げていただき,無事に下ろしていただきました。ほっと一息です。

観音寺中学移設_001

ドームはそのままではトラックに積むことが出来ません。そこで,先ず,スリット部分を外し,ドームを分解することにしましたが、これが大変な作業となりました。長年の風雨と塩害の影響でボルト・ナット・ネジなどの鉄部品が腐食しており、固着していたり、ネジ頭が崩れたりで、工具の選択と力加減に苦労することになります。それでもなんとかボルト類を取り外すことに成功しました。次はドーム接合部のコーキングと接着剤をカッターで切る作業です。建築業者であるハウスサービスの長町さんの指導のもと作業を進めました。ドームの接合面がカッターで切れると言うことをこのとき初めて知りました。

観音寺中学移設_005

観音寺中学移設_004

当初の予定では,赤道儀架台部分も一緒に乗せて,一度に搬出する予定でしたが、運搬中の事故防止のため2回にわたって搬送することにしました。運搬チームと分解チームに分かれて作業を続けましたが、ドームリングの分解で問題に直面しました。ボルトナット類が錆で固着している上に頭がボロボロで工具が空回りしてしまいます。夕暮れになり途方に暮れそうになっていたときに、再び合田工務店の現場監督さんが助け船を出してくれました。現場工事事務所にあったグラインダー、電動のこぎりなど切断電動工具を総動員して切断して戴けました。それでも1カ所の切断に30分ちかくかかる難しい作業でした。この回収は我々だけではけっして成功できないものでした。合田工務店さん、ハウスサービスさんの力添えのおかげでなんとか望遠鏡とドームを救出できました。全て搬出が終わり、仮倉庫に納めることができたのは,夜の9時をすぎていました。

15㎝屈折望遠鏡は 観音寺中学校での役割は終えましたが,整備作業を進めて天体望遠鏡博物館で再び多くの方に天体観測を楽しんでもらえるように致します。

ご協力いただきました関係者の皆様,本当にお世話になりました。

 

 

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開館日

開館日

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