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【ご案内】11月22日夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2025/11/22
更新日:2025/10/17

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11月22日土曜日の夜間天体観望会のご案内です。街明かりの影響が少ない山間部の多和地区は星空がきれいですが、この日は月明かりもありませんから、晴れていれば「天の川」を背景にした夏と秋の星座を楽しめます。土星には輪がありますが、その輪が1本の線のようにしか見えなくなる珍しい眺めになります。この土星を目印にして海王星を探すことにもチャレンジできるでしょう。北の空にはカシオペア座が昇ってきておりその近くの二重星団は何度見てもため息が出る美しさです。天体望遠鏡博物館には様々な望遠鏡が数多くあります。星と望遠鏡を楽しみましょう。

【日時】
2025年11月22日(土)
18時30分:受付開始
18時45分:オリエンテーション
19時00分:天体観望・エアドームプラネタリウム投影開始
20時30分:終了


エアードームプラネタリウム投影について
生解説で当日の星空などを紹介するプラネタリウム投映を行います。
観望会時間中に3回投映し希望者はいずれかの回にてご覧頂けます。
(1回30人×3回投映します)

プラネエアードーム7m


天体望遠鏡博物館の観望会の特徴は3つあります。

①大小様々な天体望遠鏡を使って天体を楽しめる。
天文台に設置していた大型望遠鏡、天文マニア垂涎の高性能望遠鏡や昔欲しかった懐かしい天体望遠鏡、初心者に人気のある小型望遠鏡、電子観望用のデジタル天体望遠鏡、星空を見るのに適した双眼鏡まで、各種の天体機材が豊富に揃っています。

②星空がきれい。
天体望遠鏡博物館がある「さぬき市多和地区」は山に囲まれています。市街地の光害の影響が少なく、晴れていれば「天の川」が肉眼で見えます。

③曇ったときでも博物館なので楽しめる。
昼間とは雰囲気が違う「館内ナイトツアー」、夜だからできる「望遠鏡などを使った実験」、「望遠鏡操作体験」天文ボランティアスタッフの楽しいお話、観望会前のプラネタリウムとは別プログラムのプラネタリウム投影などが行えます。

天体観望会の楽しみ方
天体望遠鏡博物館の天体観望会に参加される方の理由はさまざま。
参加者のニーズにできるだけ応えることが出来るように、観望会当日のお昼からボランティアスタッフが各種の望遠鏡を準備したり、役割分担したチーム編成をしています。
オリエンテーションのときに当日の「楽しみ方」をスタッフが説明しますので、お役立て下さい。

・天の川を見たい!いっぱいの星を見たい!
・星座を教えてもらいたい!
・家族で星と望遠鏡を楽しみたい!
・とにかく天体望遠鏡で星を見てみたい!
・量販店などにおいてあるような小型天体望遠鏡を実際に覗いてみたい!
・自分で操作してみたい!
・大型の天体望遠鏡で星を見たい!
・昔欲しかった天体望遠鏡を使ってみたい!
・月のクレーターをスマートホンで写したい(月が出ているとき)
・星をスケッチしてみたい

【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【募集数・定員】80名

【雨天・曇天時】
雨天・曇天時は別プログラムにて開催致します。

別プログラムの例
・館内ナイトツアー
・望遠鏡を使った実験やお話など

参加お申し込み方法 

近日、ネット予約受付を開始致します

11月22日の星空

☆★今回の天体観望会での観察オススメ天体リスト
星座:ペガスス座,カシオペヤ座,こと座,はくちょう座
一等星:フォーマルハウト,ベガ,デネブ,アルタイル
星の並び:秋の四辺形,夏の大三角
星雲:アンドロメダ座銀河(M31)
星団:ペルセウス座の二重星団,ペガスス座の球状星団M15,すばる
二重星:アンドロメダ座アルマク,はくちょう座アルビレオ
惑星: 土星,土星の衛星タイタン

11月中旬,季節的には秋も深まってきたという時期。そして来月には冬至を迎えます。
 夕空はつるべ落とし。あっという間に暗くなってきます。こういう情景を見ていると,本当に冬近しを感じるのではないでしょうか。
 観望会当日の日没は16時56分。18時半からの受付の時間帯には空はずいぶんと暗くなっていて,(晴れていれば)いくつかの星や星座が見えてきているかと思います。
 まずは,その暗くなった夜空を見上げてみましょう。

1122_1上図は,観望会当夜19時頃,博物館前の広場から東~南方面に体を向けて,空を見上げたときの様子です。
 (注)イメージ化したおおまかな図なので,実際の星の正確な位置関係を示すものではありません。

 秋の星空には一等星が一つしかありません。そう聞くと寂しい感じに伝わると思いますが,西空半分には,こと座のベガ,はくちょう座のデネブ,わし座のアルタイルの3つの一等星が見えています。この3つの星は『夏の大三角』の星々。冬も近い時期でありながら,まだ夏の星が見えているんですね。そして,秋の夜空の唯一の一等星みなみのうお座のフォーマルハウト。この夜は,その4つの明るい恒星に,明るく輝く土星が加わっている星空となっています。

 それでは最初に,太陽系第6番目の惑星である土星の紹介から始めましょう。
 土星は,その見映え,神秘感,どれをとっても天体観望会ではダントツ人気を誇る天体です。

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 土星は,地球からの距離約12億km。探査機ではなく飛行機で行くと130年ほどかかる距離になります。
 土星は,表面に固い地面はなく,水素とヘリウムでできているガス惑星です。だから,土星に下り立って表面を歩くことはできません。
 土星を人気者にしている要因となっている環。土星の環は,微小なものから岩塊ほどのサイズの氷をメインに,小石や岩からできていると言われています。土星の環がどうやってできたということについては,いくつかの説がありますが,土星の衛星の一つが土星本体の潮汐力によって,粉々にされたという説が有力のようです。

 

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 土星の環は年によって傾きが変わって見えます(上図)。7~8年かけて,幅広く見えるときから,幅狭く細く見えなくなるときまで,その見え方は徐々に変わっていきます。
 土星の環は,その厚みが数十m~100m程度と考えられていて,土星本体の直径(116,460 km)と比較すると1/200万。土星本体に比べると非常に薄いわけです。あまりに薄いため,環を真横から見ると認識できなくなる(見えなくなる)んです。この見えなくなる現象を環の消失と呼んでいます。

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 今年2025年の3月と5月に,この環の消失が起きました。
 そして,今月はもう一度,環をほぼ真横から見る位置関係に地球と土星がなります。11月は,上図の(C)に近い状況です。近い状況というのは,完全に真横から見ているのではなく,だいたい真横(少し斜め)から見ている状態ということです。ですから,空の透明度や気流の安定等の気象条件にもよりますが,大きめの望遠鏡であれば,細い細い環が糸のように見える可能性があるということです。小型の望遠鏡では環の見えない『丸いだけの土星』になるのではないかと考えます。
※基本的に天体望遠鏡は大口径(レンズや鏡の直径の大きい望遠鏡)ほど,より暗い天体が,より詳しい部分まで見えてきます。

※10月中旬,口径10cmの望遠鏡で,環の細くなってきている土星を観察・スケッチしてみました。

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 当観望会の一月前のスケッチ,まだまだ輪っかはしっかりと見えていましたが,この土星から環はもっと細くなってきています。貴重な機会です。小さな望遠鏡から大きな望遠鏡まで見比べて,土星の環が見えているのか見えていない(消えている?)のか,ぜひ確かめてみてください。

 土星本体のそばには,いくつかの衛星を見ることができます。望遠鏡で見える土星の衛星の中で,一番明るいのはタイタンとよばれる衛星です。タイタンは木星の衛星ガニメデに次ぐ太陽系で2番目に大きな衛星で,液体の湖の存在が確かめられていて,生命の存在もうわさされている天体でもあります。当夜は,土星から土星本体の2倍ほど離れた位置(下図)に,明るく小さな光点で見えています。
(注)天体望遠鏡により,左右が逆,上下が逆に見える場合があります。
 小型の望遠鏡で見える衛星はタイタン1個だけかもしれませんが,大きな望遠鏡ではタイタンの他にも数個の衛星が見えてきます。

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 さて,当夜はちょっと珍しい天体も見えているんです。観望会でも望遠鏡が向けられることは,それほど多くないかもしれない天体です。
 それは,太陽系第8番目の惑星である海王星。その海王星が土星のすぐ近くに見えているんです。
 冥王星が準惑星になった時点で,もっとも遠くにある惑星となった海王星。大きさは地球の約4倍。土星に似たガスでできた惑星です。海王星の大気中のメタンが青い光を反射するため,青っぽく見えます。小型の望遠鏡は非力です。できれば,スライディングルーフ内の大型望遠鏡にて,その青みがわかるかどうか確かめてみてください。
 地球からの距離は,約43億kmで,土星までの3倍以上。そんなに遠くの惑星なので,天体望遠鏡の高倍率で観察しても,見かけの大きさは土星の10分の1と,恒星よりも少し大きいかなという感じでしょうか。それでも,太陽系最果ての惑星です。じっくりと観察してみてください。

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それでは,星空全体を見渡してみましょう。まずは,北方面の空です。

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 上図は,18時半頃の北方面の星空を示しています。
 観望会の開かれる駐車場側からは,北の方角に博物館の建物があるので,北側の高度の低い星座は見えにくいかもしれません。
 ここでは,季節柄,秋の代表的な星座の一つであるカシオペヤ座を見つけてみましょう。カシオペヤ座は,北極星を見つけるときによく利用されるW型のとても見つけやすい星座です。でも,今の時期は立って見えているので,『W』というよりも数字の『3』っぽく見えるかもしれません。
 秋の星空の代表選手,望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。肉眼にて,ぜひ見つけてみてください。

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 このカシオペヤ座付近にあるオススメの天体を紹介しておきましょう。
 所属はペルセウス座になりますが,このカシオペヤ座のすぐ近くに,二重星団(h&χ) という見事な散開星団があります。
※『散開星団』とは,ほぼ同時期に誕生した星々が,比較的近い領域に集まってる天体をいいます。
 倍率は低めの方が隣接する2つの星団の全体像が同一視野に見渡せることもあり,見た印象は良い感じです。あちこちに赤っぽい星が見られ,美しさをいっそう引き立たせています。小型の望遠鏡では,この低倍率が出しやすいものです。というわけで,この天体は小さな望遠鏡での観察がオススメでしょうか。
※距離は1,400光年

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 そして,このカシオペヤ座から少し右上(東)方向に,系外星雲,アンドロメダ銀河(M31)があります。
※『系外星雲』とは,天の川銀河(銀河系)の外にある銀河(島宇宙)天体をいいます。
 倍率は低めの方が全体像がわかりやすいといえます。見かけの大きさは満月の約5倍ほどもあるとても大きな天体です。写真のような渦巻きには見えません。天体望遠鏡では渦巻きの中心部がボンヤリと見えます。M31までの距離は230万光年。すなわち,230万年前にアンドロメダ銀河を出発した光が,今ここに届いているわけです。230万年前というと,人類の祖先である原人が現れたとされる頃。旧石器時代の光が今届いているということですね。M31は『肉眼で見える最も遠い天体』です。望遠鏡では期待するほど鮮明には見えませんが,ご自分の目でアンドロメダ銀河からの生の光を体感してほしいと思います。
※距離は230万光年

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 M31と同じアンドロメダ座に,美しい二重星があります。
※『二重星』とは,肉眼では1個の星にしか見えないものが,望遠鏡で観察すると接近した二つの星として見える恒星のことをいいます。実際に二つの恒星がお互いに回り合っている天体を『連星』。たまたま同じ方向にあって,二重に見えている天体を『見かけの二重星』といいます。
 名称はアルマク。
 2等級の青っぽい色とオレンジ色の色の対比が美しい二重星です。肉眼ではわかりませんが,望遠鏡を使って少し倍率を上げて見てみると,2つの星が分離して色の具合もよくわかってきます。この二重星は実際に2つの恒星が60年ほどの周期で公転し合ってる『連星』です。
 似たような色の組み合わせのアルビレオという二重星がはくちょう座にあります。こちらも有名ですが,アルマクの方が,より接近し合ってるせいか色が濃く感じられる気がします。

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それでは,秋の星空の南半分です。

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 注目は,秋空にたった一つの一等星フォーマルハウト。そして秋の四辺形。この四辺形はペガスス座の四角形を指します。ペガスス座は,ほとんど天頂近くに見えています。ただ,2等星と3等星とから構成されるこの四角形を見つけるのは簡単ではないかもしれません。正方形に近い四角形です。がんばって,探してみてください。もしかしたら斜めになっているので,ひし形っぽく感じるかもしれませんが。

 ペガススは,お化けくじらに襲われそうになったアンドロメダ姫を,救うために現れた勇者ペルセウスを乗せた天馬。空を飛ぶスピードが速すぎるため,下半身を置き去りにしてしまったともいわれる天馬です。そんなわけで,ペガスス座は上半身しかありません。

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 写真のペガススは逆さまになっています。右上に2本の前足が斜め右上に伸びています。右下に首から頭があります。この四辺形は,ペガススの胴体の上半分です。

 ペガススの頭の少し先に,大きめの球状星団があります。
※『球状星団』とは,恒星が互いの重力の作用で球状に集まった天体をいいます。
 天体の符号はM15。高倍率で観察するとブツブツ感がはっきりしてきます。また,大きな望遠鏡ほど個々の星々に分解して見えてきます。どれも120億歳と高齢の星ばかりで,その数は十万個を超えると言われています。M15は,スライディングルーフ内の大きな望遠鏡で観察してみてください。
※距離は33,000光年

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 最後に紹介するのは,観望会終盤に東空に見えてくる,おうし座の散開星団すばる(プレアデス星団,M45)です。
 キラキラと多くの星々がまたたく様子は本当に美しいものです。すばるは秋ではなく冬の天体。早い時間帯に,このすばるが見えるようになると冬はもうすぐです。

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 平安時代の女流作家清少納言が書いた枕草子の中に,このすばるが登場します。
 『星は昴(すばる) 彦星(ひこぼし) 太白星(ゆうづつ) よばい星少しをかし…』
 大まかに現代語訳すると,
 『星はすばるが一番。その次に彦星アルタイル,続いて宵の明星,そして流れ星なんかが良い。・・・』
 この文は、夜空に見える星や天体の中で,清少納言が美しいと思ったものを順に並べたもの。その第一位にすばるがきてるわけです。昔の人の口コミでも,高い評価をもらっていたのかもしれませんね。
 すばるは,かなりの低倍率で観察しないと全体像を見わたすことが難しい天体です。上の望遠鏡イラストの中にあるすばるは,20倍ほどの倍率で見たときのイメージです。低倍率は,小型の望遠鏡が得意としています。
※距離は410光年

 この夜間観望会の主役は,観望好期となっている土星かもしれませんが,上に紹介した星雲や星団を含めて数多くの見て楽しめる星雲星団があります。当夜は,博物館の担当者が様々な望遠鏡を使って導入,そして紹介してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
 山の中です。冷え込みもかなり気になる時期。防寒にも十分に配慮して,いろいろな天体の観望をじっくりとお楽しみください。
 それでは,観望会でお会いできるのを楽しみにしています。

<注>
 天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体には個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。『M』は観測者メシエのM。

※HP中の天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときの見た感じに近いように,若干の加工をしてある画像も一部にあります。
 土星画像は,小型望遠鏡で覗いてデジタルスケッチしたものです。
 星空図,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。

 

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