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【開催済】8月19日夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2023/08/19
更新日:2023/08/18

2023年8月19日(土)夜間天体観望会は、天の川がわかるほどの星天に恵まれ、開催されました。
また、スターリンク衛星が、銀河鉄道の列車のように星空の中を進んでいく様子をみることもできました。参加された皆様、また星空と望遠鏡を楽しみにご来館下さい。

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【日時】
2023年8月19日(土)
19時30分:開場・受付開始
19時50分:オリエンテーション
20時00分:観望会開始
21時30分ころ:終了予定

【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います

【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度

【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【募集組数】20組(70名程度)
*新型コロナウイルス感染症の状況により募集数を増加、減少させることがあります。

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明

【雨天・曇天時】
雨天・曇天時は別プログラムにて開催致します。

*台風など開催が危険と思われる天候の場合は開催中止に致します*
開催中止の場合は本サイトのお知らせ欄に当日、13時ころに掲示致します

【参加方法】ネット予約が必要です。
募集数を越える予約申し込みになりましたので予約受付を終了致しました(8月18日01時56分)

8月19日の星空案内

20時30分南方向星座

8月19日(土)開催予定の天体観望会の楽しみ方や,観察しておもしろい天体を紹介します。

今回の天体観望会での観察オススメ天体リスト
 星座:  こと座,はくちょう座,さそり座,ヘルクレス座,
 一等星: アークトゥルス,スピカ,アンタレス,ベガ,デネブ,アルタイル,
 星の並び:春の大曲線,夏の大三角,
 星雲:  こと座の惑星状星雲M57,
 星団:  ヘラクレス座の球状星団M13,いて座の散開星団M7,いて座の散光星雲M8,
 二重星: アルビレオ,こと座のダブルダブルスター,
 惑星:  土星,土星の衛星タイタン,
 その他: 天の川

 8月中旬,いよいよ土星が見え始めてきました。天体観望会の人気No.1天体ということで,土星は当夜の観望会の最注目天体といえます。
 ただし,土星が見えてくるのは観望会最終のころ。もしかしたら,稜線の木々の影に遮られながらの観察になるかもしれません。
 その土星が観察できるようになるまでは,いろいろな夏の星座や天体の観察を楽しむ,そんな観望会といえそうです。

 さて,暑い日が続いていますが,夏至からは2ヶ月近くが過ぎました。来月は秋分があります。暦の上では,秋はすぐ目の前。日も短くなりつつあります。そうは言っても日の入りはまだまだ遅く,この日の日没は午後6時45分。当観望会の受付は午後7時半,観望会開始が午後8時。空が暗くなって,たくさんの星が見えるようになるまで少々時間がありそうです。
 さて,この時間をどう過ごしましょう。もちろんオリエンテーションもありますが,この待ち時間を使って,一番星探しをオススメしたいと思います。

 一度,全天をグルリ~ッと見渡してみましょう。
 空がじわじわと暗くなってくると,明るい星から先に見え始めます。最初に見えた星,それが一番星。
 下の図を見てください。博物館前の広場から南方向に体を向けて,空を見上げたときの様子です。

0819_1※イメージ化しているので,実際の恒星の位置関係とは大きく違っています。

 見えている一等星は,春の星座のうしかい座のアークトゥルスおとめ座のスピカ。そして夏の星座のこと座のベガわし座のアルタイルはくちょう座のデネブさそり座のアンタレスの計6つ。
 さて,どの一等星が一番最初に見えてくるか,夏の夕暮れの一番星探し。誰が一番早く見つけることができるか,家族や友人と競い合ってみませんか。
 『あそこに一つ見えるけど・・・』
 『えっ?!どこどこっ?』

 なお,この夜は月明かりがありません。そのため,一番星探しを含め,『星空』をじっくりと味わえる観望会といえるでしょう。

 さて,オリエンテーションも終わり,観望会が始まる時刻になると見える数の星もじわじわと増えてきます。さきほどの明るい一等星を基準にして,その周りの星々を探していくと,いろいろな星座や特徴的な星の並びも見えてくるはずです。

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 上の円形の星空図は,8月19日午後8時半頃の天空全体の様子を示しています。
 ※上下左右に記してある方角を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。

 少し首が痛いかもしれませんが,真上を見上げると天頂からやや東寄りに,夏の大三角が見えています。夏の大三角は,こと座のベガ,はくちょう座のデネブ,わし座のアルタイルの3つの一等星を直線で結んでできる三角形をいいます。思っている以上に大きく感じる三角形かもしれません。
 小学4年生の理科で学習すると思いますが,お子様連れで参加されている方はぜひ一緒に見つけてみてください。
 見つけるヒントになるのはこと座の一等星ベガ。この3つの一等星の中で一番明るいのがベガ。そして,そのベガはほぼ真上に見えています。(南に身体を向けて)まず,ベガを見つけてから,左上にデネブ,左下の方にアルタイルと見つけるのがオススメ。

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 そして,よくよく見ると(雲の有無や空の澄み具合にもよりますが)ベガとアルタイルの間を北から南へ天の川が流れているのがわかるかと思います。うっすらと煙のように,あるいは薄雲のように見えるでしょうか。多和の空に天の川が見えるかどうか,ぜひ確かめてみてください。

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 七夕のお話に出てくる彦星と織女星が,それぞれアルタイルとベガになります。
 7月7日の七夕は,もう過ぎてしまったと思うかもしれませんが,実はまだなんですね。
 七夕には,一般に耳にする7月7日の七夕と,もう一つ『伝統的な七夕』というのがあります。この伝統的な七夕というのは,月を基準にした旧暦に基づいたものになります。旧暦は月の満ち欠けにより月日が決まります。七夕は,文字通り七番目の月の夜ということで,月齢が7前後の夜という意味だと考えることができます。すなわち,伝統的な七夕の夜には,必ず月齢7前後の半月に近い月があるんです。彦星と織り姫を乗せて天の川を渡る舟なんでしょうか。
 今年の伝統的七夕は8月22日。何と3日後ですね。
 22日の伝統的な七夕の夜にも,ぜひ七夕の2つの星を見つけてほしいと思います。今夜,アルタイルとベガを見つける練習をしているので,きっと簡単に見つけることができるでしょう。

 この織女星であること座の一等星ベガは,夏の大三角をなす3つの恒星のうち,最も明るい恒星です。ベガというのは『落ちる鷲』という意味で,滑空して獲物を狙う?鷲に見立てたのかもしれません。地球からの距離は26光年。宇宙レベルでは地球と同じ町内会。大きさは太陽の2~3倍,太陽よりもずっと若い星です。そして,12000年後にはなんと北極星になるといわれています。
 このベガの周囲には,太陽系にある小惑星帯のようなベルトが見つかっています。このことから,複数の惑星が存在するのではと言われていました。
 そこに,一昨年,このベガの周りを公転する(惑星らしき)天体が見つかったとの発表がありました。観測データからは,仮に惑星であるとしたら,それは地球よりもかなり大きな惑星で,太陽と水星間の距離よりももっと近い距離を(ベガを中心に)回っているのではと考えられています。今後のより詳しい観測に期待したいところです。見た目は単なる一つの恒星ですが,惑星が回ってると思いながら,見つめてみてください。ひょっとしたら向こうからも見てるのでは?って,ベガ星系の惑星住人の視線を感じるかも・・。
 そして,彦星のアルタイル。地球からの距離は17光年。大きさは太陽の2倍程度。
 おもしろいのは,アルタイルの自転速度です。恐ろしく速い速度で自転しているため,遠心力で赤道部分が膨らんでいます。ちなみに太陽は25日で一回転するのに,アルタイルは9時間で一回転。ムチャクチャ速いですね。そして,今よりもあと1.5倍ほど速かったら,速すぎて自己崩壊してしまうらしいです。そんなに慌てて回らなくてもいいのにって思いませんか?
 ベガにしても,アルタイルにしても,そういう星なんだと思いながら観察すると,また違った印象を味わえるかもしれませんね。

 それではこの夜,天体望遠鏡を向けて楽しめる天体をいくつか紹介していきましょう。

 先に天の川が見えるということをお伝えしましたが,夏の天の川の付近には,星の集まりである星団やガスでできた天体である星雲がたくさんあります。その代表的なものを形状別にピックアップしてみました。それぞれ見え方も印象も異なります。『これ,お気に入り!』と思える天体をぜひ一つ選んでみてください。

☆★惑星状星雲:
 超新星爆発をせずに一生を終えた恒星が,周囲にガスを放出して,そのガスが中心に残された星からの紫外線に照らされて輝いている天体。
 
 M57・・・こと座にある惑星状星雲。リング状に見えるため,『ドーナツ星雲』とよばれています。
距離は2,600光年

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☆★散開星団:
 ほぼ同時期に誕生した星々が,比較的近い領域に集まってる天体

 M7・・・さそり座のしっぽの付近にある散開星団。双眼鏡や小型望遠鏡でもよく見える星団です。
 倍率は低めの方が星々が散らばりすぎず,全体像が見渡せることもあり,見た印象は良い感じがします。
 距離は1,200光年

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☆★散光星雲:
 比較的広い範囲に広がったガスや宇宙塵が様々な理由で発光して見えている天体

 M8・・・いて座の天の川の中にある星雲。写真に写すとピンク色に写ります。
 よく見るてください。散光星雲と散開星団が寄り添っている天体です。
 距離は3,900光年

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☆★球状星団:
 恒星が互いの重力の作用で球状に集まった天体。
 多くは天の川銀河(銀河系)の周辺部に存在します。

 M13・・・ヘラクレス座にある球状星団。
 恒星の数は50万個以上。北天で最大サイズの球状星団で,全天一の美しい球状星団ともいわれています。
 距離は25,000光年

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☆★二重星:
 二重星とは肉眼で見ると一つの星なのに,望遠鏡で見ると二つの星に見えてきたりする星。

 アルビレオ・・・はくちょう座の白鳥のくちばしにあたる星。
 アルビレオは,たまたま二つの星が同じ方向に接近して見えているだけの見かけの二重星ですが,おもしろいのはその色の対比。3等級の黄色い星と5等級の青い星が並んで見えています。

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 ここまで,いくつかの夏の天体を紹介してきましたが,始めにお話したように,今夜の主役は,遅れて姿を現してくる土星。地球の9個分ほどの大きさを誇る,太陽系第6番惑星です。

 観望会も終了が近づく頃,アルタイルの左下(南東)方向のずーっと下,おそらく東の山のギリギリに明るい星が見えてくるはずです。これが,観望会で人気No.1の天体でもある土星。望遠鏡で土星を覗いた人の多くから,『絵みたい』とか『これ本物?』といった感想を耳にすることがあります。それほどインパクトの強い天体であるわけです。
 その土星なんですが,天体望遠鏡で覗くと,(下に写真を掲載してあるように)見事な輪っかを見ることができます。

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 ところがところが,その土星の輪っかは,あと2年後には見えなくなります!
 いったい何が起こるというのでしょう。
 輪っか,以降『環』と記します。環の正体は,顕微鏡で見なければわからないほどの小さいなものから,数mの大きさの氷の粒子が集まったものだといわれています。その中に小石や岩石なども混じっている,それが環の正体です。ところがこの環,横から見る厚みは,1m~1kmほどと考えられていて,土星本体に比べるとその厚みは非常に薄い。通常は,この環に太陽光が反射して見えているということになります。
 下の図を見てください。年とともに,土星本体の傾きが変わります。それと同時に環の傾きも変わり,2年後には地球からは,環を真横から見る位置関係になります。そうなると,非常に厚みの薄い環を横方向からは観察することはほぼ不可能。その結果,環は見えなくなるということなんです。

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 2年後の環の消失に向けて,土星の環はどんどん細くなります。この夜に見える土星も,かなり環を斜め横から見た土星になります。上にある土星の写真は,2019年に撮影したもので,環が一番開いて見えているときに近い土星です。環の開き具合を今年の土星との見比べするのもおもしろいでしょうか。
 環のある土星らしい土星,今のうちにしっかりと見ておいてください。本当に神秘的なその姿には,環が細くなった今も,きっと感動を覚えることと思います。

 土星本体のそばには,いくつかの衛星も見ることができます。望遠鏡で見える土星の衛星の中で一番明るいのはタイタンとよばれる衛星です。タイタンは木星の衛星ガニメデに次ぐ太陽系で2番目に大きな(惑星の水星よりも大きい)衛星です。
 当夜は,土星の上方向か下方向(どっちなの?と思われるでしょうが,望遠鏡によって異なる場合があります。望遠鏡を扱う担当者に尋ねてみてください。)に,土星の輪っかの横幅の4倍くらいのところに明るい光点が見つかると思います。それがタイタンです。

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 タイタンには液体の湖の存在が確かめられていて,生命の存在もうわさされている天体でもあります。そんなこともイメージしながら望遠鏡を覗くと,宇宙の不思議さをより一層感じることができるのではないでしょうか。
 そして,夜も更けると,土星に続き木星も姿を見せるようになります。こちらは次回以降の観望会での見物となるでしょう。ぜひ,これからの観望会にも参加くださいね。

 月明かりに影響されない夜は,多くの星雲星団がとてもよく見えます。ここまで紹介した星雲星団以外にも,見ておもしろい天体がたくさんあります。

例えば
 ☆M17・・・いて座にある散光星雲,湖を泳ぐ白鳥のように見える・・?
 ☆M22・・・いて座にある球状星団,M13より迫力があるかも。
 ☆M27・・・こぎつね座にある惑星状星雲,銀行の地図記号に見えるといううわさ。
 ☆こと座ε(イプシロン)星・・・二重星が二重になってる?
  ベガの近くにあります。通称『ダブルダブルスター』
 ☆南斗六星・・北斗七星とどう違う?さて,何座にあると思いますか?

 いろいろな天体の観望をお楽しみください。

※HP中の星図,星座絵図は,AstroArts社製StellaNavigator12で作成しています。
 天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときの見た感じに近いように若干の加工をしてあります。
 円形星図,イラスト,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。

<注>
 天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体には個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。『M』は観測者メシエのM。

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