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【開催中止】8月20日夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2022/08/20
更新日:2022/08/11

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、8月6日から8月28日まで臨時休館することになりました。これに伴い8月20日(土)の夜間天体観望会も開催中止にさせていただきます。
ご予約いただいている皆様に開催中止のお知らせをするのは心が痛むのですが、中止やむなしとの判断に至りました事情をお察しいただければと存じます。(8月4日掲示)
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8月20日(土)開催予定の夜間天体観望会のご案内です。

【日時】
2022年8月20日(土)
19時00分:開場・受付開始
19時15分:オリエンテーション
19時30分:観望会開始
21時ころ:終了予定

【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います

【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度

【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【募集組数】20組(80名程度)

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明

【雨天・明らかな曇天時】
・開催中止に致します
*通常時は雨天・曇天時でも別プログラムにて室内開催していますが、コロナ禍が収束するまでは室内での「密」を避けるため雨天・明らかな曇天時は開催中止と致します。
*開催中止のお知らせは観望会当日の正午過ぎにホームページに掲載致しますので来館前にご確認下さい。

【参加方法】ネット予約が必要です。

*募集数を越えましたので予約受付を終了致しました(7月29日17時16分)

8月20日星空案内

8月20日(土)開催予定の天体観望会の楽しみ方や,観察しておもしろい天体を紹介します。

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 暑い日が続いていますが,夏至からはもう二ヶ月近くが過ぎました。来月は秋分があります。暦の上では,秋は目の前。そうは言っても,日没はまだまだ遅く,この日の日の入りは午後6時44分。この日の観望会の受付が午後7時半,観望会が始まるのが午後8時。空が暗くなって,多くの星が見えるようになるまで少々時間がありそうです。
 さて,この時間をどう過ごしましょう。もちろんオリエンテーションもありますが,暗くなるのを待つ時間を利用して,当夜は一番星探しをオススメしたいと思います。

 一度,全天をくまなく見渡してみましょう。
 空がじわじわと暗くなってくると,明るい星から先に見え始めます。最初に見えた星,それが一番星。
 下の図を見てください。博物館前の広場から南方面に体を向けて,空を見上げたときの様子です。

0820_1 ※多少イメージ化しているおおまかな図なので,実際の恒星の位置関係とは違っています。

 見えている一等星は,春の星座のうしかい座のアークトゥルス,おとめ座のスピカ。そして夏の星座のこと座のベガ,わし座のアルタイル,はくちょう座のデネブ。さそり座のアンタレスの計6つ。
 どの一等星が一番最初に見えてくるか,夏の夕暮れの一番星探し。どの星が一番星になるか,誰が一番早く見つけることができるか,家族や友人と競い合ってみませんか。
 『あそこに一つ見えるけど・・・』
 『えっ?!どこどこっ?』
 とか,ちょっと楽しいかも。
 この夜は月明かりがありません。そのため,一番星探しを含め,『星空』をじっくりと味わえる観望会といえるでしょう。

 さて,オリエンテーションも終わり,観望会が始まる時刻になると見える数の星はじわじわと増えてきます。さきほどの明るい一等星を基準にして,その周りの星々を探していくと,いろいろな星座や特徴的な星の並びも見えてくるはずです。

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 上の円形の星空図は,8月20日午後8時頃の天空全体の様子を示しています。
 ※上下左右に記してある方角を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。

 少し首が痛いかもしれませんが,真上を見上げると天頂からやや東寄りに,夏の大三角が見えています。夏の大三角は,こと座のベガ,はくちょう座のデネブ,わし座のアルタイルの3つの一等星を直線で結んでできる三角形をいいます。けっこう大きな三角形です。
 小学4年生の理科で学習すると思いますが,お子様連れで参加されている方はぜひ一緒に見つけてみてください。

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 この夏の大三角を見つけることができたら,どの星がベガ,デネブ,アルタイルなのかを特定してみましょう。
 星空を観察する場合,方角を意識することはとても大切なこと。まずは南北方向,東西方向を確かめておきましょう。
 上の図は南が下になってます。すなわち一番南にあるのがアルタイル。西にあるのがベガ。残る一等星がデネブです。そして,よく見ると(空の澄み具合にもよりますが)ベガとアルタイルの間を北から南へ天の川が流れているのがわかるかと思います。うっすらと煙のように,あるいは薄雲のように見えるでしょうか。

 七夕のお話でいう彦星と織女星が,それぞれアルタイルとベガになります。
 7月7日の七夕も,旧暦の伝統的な七夕も,どちらも過ぎてしまいましたが,七夕の星はまだまだ見頃です。
 そこで今回は,この七夕の織女星(ベガ)のあること座にスポットを当ててみましょう。
 こと座の一等星ベガは,夏の大三角をなす3つの恒星のうち,最も明るい星。ベガというのは『落ちる鷲』という意味で,滑空して獲物を狙う?鷲に見立てたのかもしれません。地球からの距離は26光年。宇宙レベルでは超ご近所さん。大きさは太陽の2~3倍,太陽よりもずっと若い星です。そして,12000年後にはなんと北極星になります。
 このベガの周囲には,太陽系にある小惑星帯のようなベルトが見つかっています。このことから,複数の惑星が存在するのではと言われていました。
 そこに,昨年,このベガの周りを公転する(惑星らしき)天体が見つかったとの発表がありました。観測データからは,仮に惑星であるとしたら,それは地球よりもかなり大きな惑星で,太陽と水星間の距離よりももっと近い距離を(ベガを中心に)回っているのではと考えられています。今後の観測に期待したいところですが,惑星があるのかも・・と思いながら,こと座の一等星ベガを見つめてみるのもロマンが感じられそうですね。

 さて,そのこと座。楽器のことがモチーフというのは普通に想像できます。
 では,その楽器を題材ににどんなお話が語られていたのでしょうか。今回はギリシャ神話からこと座にまつわる物語を紹介しましょう。

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 昔々,オルフェウスという竪琴の名手がいました。彼にはエウリデュケという妻がいたのですが,ある日,毒蛇にかまれて死んでしまいます。
 最愛の妻を失い深く悲しんだオルフェウスは,妻を生き返らせてもらうために,あの世の国(冥界)の王であるプルート(ハーデス)の元へ出向きます。
 冥界の入口では,ケルベロスという猛犬が見張っています。生きた人間を通さないように訓練されているのです。困ってしまったオルフェウスは,どうしても通りたいという思いを込めて琴を弾きます。するとどうでしょう,さきほどまで牙をむきながら吠えていたケルベロスが,まるで借りてきた猫のようにおとなしくなってしまったのです。
 そう,オルフェルスが弾く琴の音を聞くと,森の中の猛獣たちは目を閉じておとなしくなり,川はせせらぎの音を出すのを止めて静かに聞き惚れ,堅い岩もゴムのように柔らかくなると言われるほど。
 その美しい琴の音色に,さすがの猛犬ケルベロスも普通の犬になってしまったのです。
 やがて,冥界の王であるプルートの前に立ちます。そして,琴を弾きながら『妻を返してほしい』とエウリデュケに対する思いを切々と話しました。けれども,プルートは死者を生き返らせることには承諾しません。しかし,プルートの妃となっていたペルセポネーが涙を流しながら説得したため,プルートは仕方なく,エウリデュケを連れ帰ることを許可します。
 ただ,そのときプルートは,『地上に出るまでは,決して後ろを振り向いてはいけない』と,オルフェウスに伝えます。
 オルフェウスは喜びいっぱいに,再び険しい道のりを地上に向かって歩き出します。やがて,洞窟の口から光が見え,地上の香りが漂い始めたとき,オルフェウスはうれしさと妻への懐かしさに我慢できずに,後ろにいる妻の方を振り返ってしまったのです。その瞬間,エウリデュケは吸い込まれるように,元来た洞窟の奥の方へと吸い込まれてしまいました。オルフェルスは引き返して,『もう一度だけ・・』と訴えましたが,その願いが通じることはありませんでした。
 その後,悲しみのあまりオルフェウスは野山をあてどもなくさまよいます。そして酒に酔った人たちからの余興に琴を弾けとの命令を無視したため,石をぶつけられて絶命。愛用の琴も川に投げ捨てられました。
 それを大神ゼウスが見つけ,哀れに思って夜空に上げたのがこと座だということです。
 静かな夏の夜,こと座を見つけたらそっと耳を澄ませてみてください。もしかしたら,オルフェウスの美しい琴の音が聞こえてくるかもしれませんよ。 

 それではこの夜,天体望遠鏡を向けて楽しめる天体をいくつか紹介していきましょう。

 先に天の川が見えるということをお伝えしましたが,夏の天の川の付近には,星の集まりである星団やガスでできた天体である星雲がたくさんあります。その代表的なものを形状別にピックアップしてみました。それぞれ見え方も印象も異なります。「これ,お気に入り!」と思える天体をぜひ一つ選んでみてください。

☆★惑星状星雲:
超新星爆発をせずに一生を終えた恒星が,周囲にガスを放出して,そのガスが中心に残された星からの紫外線に照らされて輝いている天体。
 
M57・・・こと座にある惑星状星雲。リング状に見えるため,『ドーナツ星雲』とよばれています。
距離は2,600光年

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☆★散開星団:
ほぼ同時期に誕生した星々が,比較的近い領域に集まってる天体

M7・・・さそり座のしっぽの付近にある散開星団。双眼鏡でもよく見える星団です。倍率は低めの方が星々が散らばりすぎず,全体像が見渡せることもあり,見た印象は良い感じがします。
距離は1,200光年

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☆★散光星雲:
比較的広い範囲に広がったガスや宇宙塵が様々な理由で発光して見えている天体

M8・・・いて座の天の川の中にある星雲。写真に写すとピンク色に写ります。よく見ると,散光星雲と散開星団が寄り添っている天体です。距離は3,900光年

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☆★球状星団:
恒星が互いの重力の作用で球状に集まった天体。
多くは天の川銀河(銀河系)の周辺部に存在します。

M13・・・ヘラクレス座にある球状星団。
恒星の数は50万個以上。北天で最大サイズの球状星団で,全天一の美しい球状星団ともいわれています。
距離は25,000光年

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☆★二重星:
二重星とは肉眼で見ると一つの星なのに,望遠鏡で見ると二つの星に見えてきたりする星。

アルビレオ・・・はくちょう座の白鳥のくちばしにあたる星。
アルビレオは,たまたま二つの星が同じ方向に接近して見えているだけの見かけの二重星ですが,おもしろいのはその色の対比。3等級の黄色い星と5等級の青い星が並んで見えています。

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 ここまで,いくつかの夏の天体を紹介してきましたが,もしかして今夜のメインディッシュは,遅れて姿を現してくる,とある天体かもしれません。観望会終盤近くに見え始めてくる土星。土星はこれからが観望の好期となってくるのですが,この夜は,まだ南東の空に高度は低いかもしれません。高度が低いと気流の影響を受けやすく,もしかしたら表面模様等は見えにくいかもしれません。それでも不思議な環を持つ神秘的な天体です,

 アルタイルの左下(南東)方向に明るい星が見えているはずです。これが,観望会で人気No.1の天体でもある土星。天体望遠鏡を使うと,その輪っかも明瞭に見ることができます。望遠鏡で土星を覗いた人の多くから,『絵みたい』とか『これ本物?』といった感想を耳にすることがあります。本当に神秘的なその姿をじっくりと味わってみてください。
 土星は地球の9個分ほどの大きさ。太陽系で2番目の大きさを誇ります。

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 土星本体のそばには,いくつかの衛星も見ることができます。望遠鏡で見える土星の衛星の中で一番明るいのはタイタンとよばれる衛星です。タイタンは木星の衛星ガニメデに次ぐ太陽系で2番目に大きな(惑星の水星よりも大きい)衛星で,液体の湖の存在が確かめられていて,生命の存在もうわさされている天体でもあります。そんなこともイメージしながら望遠鏡を覗くと,宇宙の不思議さをより一層感じることができるのではないでしょうか。
 そして,土星から多少遅れて木星も姿を見せようとしています。こちらは次回観望会での見物となるでしょう。ぜひ,次回の観望会にもご参加ください。

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<注>
 星雲星団の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。Mはメシエの略号です。

☆★今回の観望会で見てみたい天体リスト
ベガ,アルタイル,デネブ,アンタレス
さそり座,こと座,はくちょう座,わし座
夏の大三角,七夕の星,天の川
M57,M7,M8,M13
アルビレオ
土星 他

月明かりに影響されない夜は,多くの星雲星団がとてもよく見えます。上に紹介した星雲星団以外にも,見ておもしろい天体がたくさんあります。

例えば
☆M17
いて座にある散光星雲
湖を泳ぐ白鳥のように見える・・?

☆M22
いて座にある球状星団
M13より迫力があるかも。

☆M27
こぎつね座にある惑星状星雲
銀行の地図記号に見えるといううわさ。

★こと座ε(イプシロン)星
二重星が二重になってる?
ベガの近くにあります。
通称『ダブルダブルスター』

◇南斗六星
北斗七星とどう違う?
さて,何座にあると思いますか?

いろいろな天体の観望をぜひお楽しみください。

※HP中の星図,星座絵図は,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。
天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときの見た感じに近いように若干の加工をしてあります。
円形星図,イラスト,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。

原稿作成:天体望遠鏡博物館 会員F(徳島)

 

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