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【開催中止】5月21日夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2022/05/21
更新日:2022/05/21

*5月21日(土)夜間天体観望会は曇天のため開催中止に致します

天気予報によりますと、5月21日夜は22時ころまで曇天見込みです。その後、回復見込みですが天体観望会が開催される時間帯は星空を期待できないと思われます。観望会を楽しみにされていた皆様には申し訳ございませんが開催中止やむなしとの判断に至りました。本当に残念です。(5月21日12時40分発表)

5月21日(土)開催予定の夜間天体観望会のご案内です。

【日時】2022年5月21日(土)
    受付開始:18時45分~
    オリエンテーション:19時00分~
    観望会:19時20分~21時
【内容】オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】:大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度
【参加費】大人500円、大学高校生400円、中学小学生300円
     就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【募集組数】10組(40名程度)
【オリエンテーションの内容】
 ・今夜の星空のシュミレーション
 ・本日の天体望遠鏡の味わい方
 ・天体望遠鏡の見方・使い方説明
 ・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
【雨天・明らかな曇天時】
 ・開催中止に致します
 *通常時は雨天・曇天時でも別プログラムにて室内開催していますが、コロナ禍が収束するまでは室
内での「密」を避けるため雨天・明らかな曇天時は開催中止と致します。
 *開催中止のお知らせは観望会当日の正午過ぎにホームページに掲載致しますので来館前にご確認下さい。

【参加方法】ネット予約が必要です。*募集数を越えるお申し込みがありましたので予約受付終了致しました。(5月8日17時50分)

5月21日の星空案内

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 5月21日開催の天体観望会での見どころを紹介します。

 当夜は午後7時から,オリエンテーションを行ってから観望会のスタートとなります。
 5月も中旬,早いものです。夏至まであと一ヶ月と少しになってきました。日没も遅くなってきています。この日の日の入りは午後7時。オリエンテーションが終わる頃になっても,空には明るさと青みが残っていることでしょう。

 観望会開始前,主な観望場所となる博物館の駐車場には数多くの天体望遠鏡が並んでいます。また,隣接するスライディングルーフの中にも望遠鏡が数台設置されています。まだ,明るさが残るうちに,準備された望遠鏡群にも少し目を向けてみてください。
 スライディングルーフの中の望遠鏡は,見上げるほどの比較的大きな(鏡やレンズの直径が大きい)望遠鏡です。それに比べて,駐車場に並べられた望遠鏡はどちらかといと小さな(鏡やレンズの直径が小さい)望遠鏡。
 今回の観望会で楽しめそうな天体は,この大きな望遠鏡で見る方がオススメのものと,小さめの望遠鏡で見る方がオススメのものに大きく分けられることができるんです。

 ここで,簡単に望遠鏡の大小の特徴をまとめておきましょう。ちょっと覚えておいてくださいネ。
大きな望遠鏡の特長:
☆光をたくさん集めることができる=暗い天体まで見える
☆細かいところまで分解して見える
小さな望遠鏡の特長:
☆低倍率が得やすく,広い視野で天体の全体像を眺めることができる

 当夜の観望会には,テーマにもなりそうな一つのキーワードがあります。
 それは,
 『宇宙ののぞき窓』

 実は春の星空には,『宇宙ののぞき窓』と呼ばれている領域があるんです。『宇宙ののぞき窓』って,なんだかワクワクしてきそうなフレーズですね。
 ここでいう『宇宙』とは,太陽系内にある月や惑星ではなく,天の川銀河(銀河系)内にある星雲や星団でもなく,遙か遙か遠い遠い天体ということにします。
 『窓』というのは,文字通りそこから向こう側が見える部分ということ。
 これを合体してみると,”すごく遠い天体が見える部分”が春の星空にはあると読み取ることができます。春の星空には,この窓があちらこちらにあるんです。
 ざっくり言うと,春の星空には遠い天体がたくさん見えるということ。
 この夜はぜひとも
 天体望遠鏡で宇宙の奥の方をのぞいてみましょう!

 では,その遠い天体のいくつかをご紹介していきましょう。

まず,M65,M66,NGC3628

<注>天体の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記載された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され観測に活用されています。Mはメシエの略号です。
 NGCは,New General Catalogの略で,アイルランドの天文学者ドライヤーがまとめた7840個の星雲星団,銀河などが載っている天体カタログ。略してNGCカタログです。メシエのカタログよりも100年以上も後になって編集されたものであるため,収録された天体数も多く,遙かに暗いものまで含まれています。そのカタログに収録されている天体に振られているのがNGCの付くナンバーです。

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 M65,M66,NGC3628は,しし座の後ろ足の部分にある3つの系外星雲(銀河系の外側にある銀河)です。距離は約3500万光年。私たちの太陽がある銀河系(天の川銀河)の直径がおよそ10万光年といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠くにある渦巻き銀河です。
 3500万光年というと光が3500万年かかって到達できる距離。
 すなわち
 (光速=秒速約300,000km×60秒×60分×24時間×365日×35,000,000年)km
 電卓を使って計算しても0が並び過ぎて,意味がわからなくなるほどの距離です。
 ちなみに同じしし座の一等星のレグルスですが,太陽からの距離は約80光年。私たちと同じ銀河系の中にある恒星で,宇宙レベルではご近所さんですが,そのレグルスまでのおよそ440000倍の距離。
 やっぱりわかりにくいので,表現をかえましょう。
 地球と月の間の距離を1mmに縮小してみると,レグルスまでは高松市から名古屋の手前くらい。M65までは高松から火星軌道を超えるくらいまでになります。
 レベルが違いますね。まあ,それほど遠くにある天体ですから,煙か雲のように薄ボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。
 遠い天体です。暗い天体です。すなわちこれらの天体は,大きい天体望遠鏡で観察するのがオススメということになります。

 ところで,宇宙のもっと奥の奥の話。先日,これまで見つかっている中で最も遠い天体が撮影されたというNEWSがありましたが,その天体までの距離は129億光年。M65のまだ400倍ほど遠方。宇宙は広い。
 そんな,宇宙の広大さを感じさせてくれそうな春の系外星雲たちかもしれません。

 もう一つ,系外星雲をご紹介しましょう。北斗七星の取っ手のところにあるM51。こちらはM65たちよりも若干近くて距離は2100万光年。

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 この天体は,大小2つの銀河がつながっているため,子持ち銀河とも呼ばれることがあります。
 写真に写すと,M51のきれいな渦巻きの1本の腕の先に,もう一つの小さな銀河(NGC5195)がつながっているような姿がわかります。小型の天体望遠鏡ではそこまで見ることは困難です。先に紹介したしし座にある系外星雲も含め,こうした遠方の暗くて小さな天体は,スライディングルーフ内の大きな望遠鏡で観察してみてください。大小2つのボンヤリが見えたらOKです。

 星を探すときに使うものに星図というものがあります。
 星図とは,文字通り星の図。星の場所を表した地図のようなもの。下の星図はおとめ座からかみのけ座,しし座付近を表した星図です。

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 この図の中に示されている小さな楕円のマークですが,これが系外星雲の印。
 おとめ座とおとめ座からかみのけ座にかけて,多数の系外星雲が存在していることがおわかりになるかと思います。これらは5,000万~6,000万光年以上の距離にある銀河です。
 おとめ座とかみのけ座は天の川から遠く離れたところにある星座で,星間ガスなどの遮蔽物がほとんどないため,宇宙の深遠が観察しやすい領域となっています。まさしく宇宙の奥を覗くことができる窓ですよね。
 これだけ系外星雲が密集していると,そこに天体望遠鏡を向けてみたい気持ちになったりしませんか。

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 さて,暗くて小さな遠い天体を見るのにオススメな大きな望遠鏡。では小さな望遠鏡では,どんな天体の観察を得意としているのでしょうか。
 小さな望遠鏡は,対物レンズや対物鏡の焦点距離が大きな望遠鏡に比べて短いものが多いです。
 天体望遠鏡の倍率は,対物レンズや鏡の焦点距離÷接眼鏡の焦点距離 で計算できます。
 対物レンズの焦点距離が短いということは,低い倍率が得やすいということ。倍率を上げない方が良く見える天体,そんな天体を見るには小型の望遠鏡で観察するに限ります。

 ここで紹介しておきたいのはM44。

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 M44はプレセペとも呼ばれる散開星団(生まれの近い恒星同士が数多く集まっている天体)です。
 プレセペとはラテン語で『飼い葉桶(牛馬のエサ入れ)』という意味です。小型の望遠鏡でも30~40個以上の星を数えることができます。明るさは3.7等なので,空の条件が良いと肉眼でもぼーっとした雲のように見ることができます。
 場所はかに座。レグルスの西側(南に向かって右方向)にかに座があります。そのかに座のど真ん中に,プレセペはあります。概ね散開星団は低倍率での観察が向いていて,M44も倍率を上げすぎると星の密集感が感じられなくなって,おもしろみがなくなることが多いです。

 続いて,春の星空の特長の一つとして,見応えのある二重星が多いということが挙げられます。
 二重星とは,二つの星が接近して見えているものをいいます。

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 上の画像はうしかい座のプルケリマです。プルケリマとは,『最も美しいもの』という意味だそうです。黄色っぽい主星に青みがかった伴星の組み合わせは,確かにとても美しく感じます。
 その他にも,しし座のアルギエバ,おとめ座のポリマなど,たいへん見応えのある美しい二重星があります。
 そしてもう一つ,北斗七星の柄の方から2番目にミザールという名の星があります。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星です。
 ミザールは,昔,アラビアでは兵隊の視力検査に利用されていたそうです。はたして2つの星に見えるでしょうか。明るい方の星がミザールで,暗い方の星はアルコルといいます。望遠鏡を使わずに観察可能な二重星ミザール,2つの星に分離できるかどうか,ぜひ挑戦してみてください。

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 その他にも,見ておもしろい天体の一つにM3という球状星団(多くの恒星がお互いの重力で球形に集まった天体)があります。
 うしかい座のアルクトゥールスとりょうけん座α星(コルカロリ)の真ん中あたりにあります。実際の大きさは直径は100光年以上。50万個もの恒星が集まってボール状に見えている天体。年齢も相当に古く,どうしてこんな天体があるの?と思いたくなるような不思議な天体です。
 球状星団は大きな望遠鏡で観察するのが基本です。口径の大きな望遠鏡で倍率を高めにして観察すると,(気流や空の状態にもよりますが)一つ一つの星々がブツブツと分離して見えてきます。
 こちらは高倍率での観察がオススメ。スライディングルーフの中の,大口径の望遠鏡で見てみてください。

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 さて,ここまで,5月21日夜の天体観望会で楽しめる体を紹介してきましたが,最後に,夜空全体の様子も紹介しておきましょう。

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 上図は,21日午後8時の南から東方面の星空です。西にはまだ冬の星座たちが見えていますが,主役は完全に春の星座たち。その春の星空には一等星が3つあります。おわかりになりますか?
 しし座のレグルス,おとめ座のスピカ,そして,うしかい座のアークトゥルスの3つ。明るい一等星をまず見つけて,それから周囲の暗い星を探していくと,星座の形なども見つけやすくなります。

 北の空に目をやると,北極星を探すときに利用されることで有名な北斗七星 が見えています。
 この北斗七星の柄の部分をひしゃくの部分とは反対方向に伸ばした先に,うしかい座のアークトゥルスがあります。そのアークトゥルスをさらに南へ伸ばすとおとめ座のスピカがあります。この北斗七星の柄の部分から,アークトゥルス,スピカと結んでできる曲線が春の大曲線です。
 こういった星々を結んでできる形や星座の観察には,天体望遠鏡は必要ありません。望遠鏡の近くで列を作って待つ間,いろいろな星の並びや形を見つけて楽しんでみてください。

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 上図は,5月21日午後8時頃に見える星空です。
 ※上下左右に記してある方角を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。

 前回の観望会案内では,しし座にまつわる神話を書きましたが,今回は,おとめ座の神話を紹介しておきましょう。
 おとめ座にまつわる神話は2つあって,どちらもなかなかの面白さがあります。
 まず,おとめ座のおとめは正義の女神アストライアだという話。

 昔,地球上はとても平和で,神様,人間,動物たちが仲良く暮らしていた時代がありました。しかしそのうち,人間が土地を所有するようになると争いが生じ始め,神様はあきれて天に帰っていきます。その中で,アストライアだけは人を信じて一人地上に残り,『争いはダメだよ。』と正義を説いていました。それでも争いの絶えない人間たちに愛想を尽かし,天に帰っていったとされています。
 アストライアは手に,てんびんを持っています。そのときに人の行いを正義という視点で,調べ判断するために使ったものですが,それがてんびん座になっています。

 もう一つの物語は,このおとめは農業の神デーメテールだというもの。
 女神デーメテールにはペルセポネーという娘がいました。あるとき花畑で妖精と花を摘んで戯れていたペルセポネーを,冥府の王ハーデス(ローマ神話ではプルート)が強引に連れ去って自分の嫁にしてしまいます。嘆き悲しんだデーメテールは洞窟に潜み,姿を見せなくなります。すると農業の神が姿を消したものですから,地上では農作物が一切実らなくなりました。これに困った大神ゼウスは,(弟である)ハーデスに,ペルセポネーを母の元に返すように説得します。
 ハーデスは,仕方なく兄の言うことに従うのですが,ここで問題が発覚します。”あの世の食べ物を口にしたものは地上に戻れない”のです。実は,ペルセポネーは冥界のザクロを食べてしまっていたんです。そのため母の元へは帰ることができません。
 頭を抱えてしまったゼウスは,悩んだあげく一つの解決策を提起します。ペルセポネーは地上に戻しなさい。ただし,彼女が口にしたはザクロ4粒であったので,4か月だけはハーデスの元に戻しますと。
 結局,娘のいなくなる4か月間,デーメテールは洞窟に隠れてまた泣き続けます。結果,(この4か月の間は)農作物が実らない季節,いわゆる冬ができたのだとされています。春が来て,植物たちが一斉に芽を出し花を咲かせるのは,デーメテールが喜びに溢れている状況を示しているのかもしれませんね。
 なるほどぉ~,そうだったんだと妙に納得してしまいそうになるお話かと。

 おとめ座は,88ある星座の中で2番目の大きな星座です。おとめ座生まれの人もそうでない人も,ぜひこの大きな星座の全体像を一度確かめてみてはいかがでしょう。

☆おまけのクイズ:
 おとめ座は,全天で2番目に大きな星座。
 では,一番大きな星座は何座でしょう?
 ヒント:上の円形星図の中を探すとわかります。おとめ座よりもでっかい星座が見えています。
 <正解は一番最後>

 以上,ここまで,いくつか見どころとなる天体を紹介しましたが,春の星空には他にも数多くの『見ておもしろい天体』がたくさんあります。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,そして紹介してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
 また,大きな望遠鏡と小さな望遠鏡とでは見え方がかなり違ったりします。レンズを使った屈折望遠鏡と鏡を使った反射望遠鏡とでも,見え方に違いがある場合があります。倍率の違いによる見え方の違いもあります。同じ天体でも,いろいろな望遠鏡,いろいろな倍率で観察して,見え方の違いを味わってみるのもおもしろいと思います。

☆★今回の観望会で見ておきたい天体リスト
 しし座,おとめ座,うしかい座,
 春の一等星(レグルス,スピカ,アークトゥルス),
 春の大曲線,北斗七星,
 系外星雲(M65,M66,NGC3628,M51),散開星団(M44),球状星団(M3),
 二重星(ミザール,プルケリマ) 他

※HP中の星図,星座絵は,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。
 その他の円形星図,絵図はAdobe Illustratorで作図しています。
 天体画像は,博物館会員が小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。

 クイズの答え:うみへび座

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