香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
[イベント] スケジュール:2025/06/07
更新日:2025/05/17
【日時】
2025年6月7日(土)
観望会前にエアードームプラネタリウムを入れ替え制で2回行います。
希望者は各回開始前にご来場下さい。
18時30分:1回目投影
19時00分:2回目投影
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19時00分:天体観望会受付開始
19時30分:オリエンテーション
19時40分:観望会開始
21時10分:終了予定
*夜間天体観望会のみに参加の方は19時00分から受付開始です*
【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度
【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【募集組数】30組(80名程度)
【オリエンテーションの内容】
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
【雨天・曇天時】
雨天・曇天時は別プログラムにて開催致します。
別プログラムの例
・館内ナイトツアー
・望遠鏡を使った実験やお話など
参加お申し込み方法 ネツト予約をご利用下さい
☆★今回の天体観望会での観察オススメ天体リスト
月:月齢11の月(クレーター,海)
惑星:火星
星座:しし座,うしかい座,おとめ座,おおぐま座
一等星:レグルス,アークトゥルス,スピカ
星の並び:北斗七星,春の大曲線
星雲:おおぐま座の系外星雲(M51)
星団:ヘルクレス座の球状星団(M13),かみのけ座の散開星団(Mel111)
二重星:ミザール,プルケリマ
6月7日開催予定の天体観望会にて,楽しんでいただきたいオススメの天体を紹介します。
夏至が6月21日と目前に迫っている当夜の日没は,19時14分とかなり遅く,観望会が始まってもしばらくは,まだ空に明るさが残っていると思います。
この太陽が沈んでからもしばらく,空が明るさを保っている状況を薄明(はくめい)といいます。薄明の終了とともに空はだんだん暗くなっていくものなんですが,当夜は大きな月が見えています。その月明かりの影響で,時間が経過しても夜空はほんのりと明るく,暗い星々は見えにくい状況にあるかと考えます。
まずは,今回の天体観望会の主たる観望対象は,この煌々と輝く月(月面)ということになるかと考えます。
この夜の月齢は11.4。
※月齢とは,月の満ち欠けの状態を示す数字で,新月から何日経過しているかを表します。新月を0として,新月からの経過日数を数字で表します。大まかには月齢が7前後であれば半月(上弦の月)頃,15前後であれば満月頃,22前後であれば下弦の月の頃というように,月齢で月のだいたいの大きさを知ることができます。
月齢15付近が満月なので,6月7日の月齢11の月というのは,満月まで4日ほどということで,かなり丸みのある月ということになります。
月は大きく明るいので,天体望遠鏡を簡単に向けることができる天体です。博物館駐車場に並べられた天体望遠鏡の多くは,早々に月に向けられていることでしょう。
では,その月の紹介をしておきましょう。
大きさ:地球の4分の1強の大きさがあります。これは主惑星に対する衛星の大きさとしては,非常に大きいものです。他の惑星とその衛星の大きさの比をいくつか挙げると下のようになります。
火星と衛星フォボスの大きさの比 260:1
木星と(太陽系最大の)衛星ガニメデの大きさの比 27:1
土星と衛星タイタンの大きさの比 24:1
地球と月の大きさの比 3.7:1
他の惑星の衛星などを比べてみると,突出して月が大きいことがわかりますが,その理由は解明されていません。月は,太陽系内でも一風変わった衛星というわけです。
月までの距離:およそ38万km。ジャンボジェット機で行くと約2週間かかるほどの距離です。
月は毎年平均して約4cmずつ遠ざかっています。原因は潮汐力。海水の移動がブレーキとなって,地球の自転速度が遅くなり,結果として月までの距離が長くなっていくのです。遠い遠い将来,月は地球からずっと離れて,いつかはいなくなってしまうのでしょうか?
月はどこから来た?:月の起源については,大きく分けて4つの仮説があります。
☆分裂説(親子説):月は地球から飛び出したという説。地球と月の密度が近いことも,この説を後押ししています。ところが,地球から月が飛び出すほど,地球の自転が速かったとは考えにくいのも事実です。
☆双子説(兄弟説):太陽系が誕生した太古,地球と月は同時に誕生したという説。ところが,双子で誕生したなら組成は酷似しているはずなのに,地球に多い鉄などの成分が月には少ないこと,また,軌道の傾きの存在なども説明することができません。
☆捕獲説:別のところで誕生していた月が,地球の重力に捕まってしまったという説。双子説の欠点をうまく説明できるのですが,捕獲された後,何らかのブレーキが働かないと,地球と衝突してしまう可能性の方が高いと考えられています。
☆ジャイアントインパクト説:地球が形成された頃,火星サイズの天体が地球と衝突して,周辺にばらまかれた岩石などが固まって誕生したという説で,最も有力視されています。従来の各仮説の短所をうまく説明できる説だとされています。ただ,コンピュータでシミュレーションしてみると,月は地球の破片成分が集まってできたのではなく,衝突した天体の方の天体の成分から誕生してしまうということが判明。すると月の組成が地球と組成に似ている点と矛盾してしまうんです。
それぞれの説に〇とXがあって,決定打に欠ける状況のようです。
はたして,月はどこからやってきたのでしょうか?
今宵はその月がメインディッシュ。
ということで,実際の月の観察ポイントをまとめておきましょう。
まず,望遠鏡で月を観察したときに最初に気がつくのが,黒っぽい模様でしょうか。昔の人たちは,月にも地球と同じように海があると考えていました。そして,この黒い地域を『海』と呼びました。海は,そのほとんどが地下から噴き出した溶岩(玄武岩)でできて,この玄武岩が黒っぽく見せているのです。
数ある海には名前がついています。この観望会の夜,見えている海は下の7つ。
『豊かの海』 は,直径700kmのやや不規則な形をした海。ウサギの片方の耳にあたります。
『神酒の海』は,直径約300kmのほぼ円形をした海。ウサギのもう一方の耳にあたります。
『危難の海(危機の海)』は,直径約600kmの円形の海。切り立った山脈に囲まれて,内部は冷えた溶岩で覆われています。
『静かの海』は,直径約900km。ウサギの顔(頭)の部分にあたります。人類が初めて月面に立つことができたアポロ11号の着陸地点があります。
『晴れの海』は,直径約700km。何となく五角形っぽく見えます。
『雨の海』は,径約1100km。『嵐の大洋』に次いで月面2番目に広い海。
『雲の海』は,直径約690km。目立つ山や大きなクレーターはありません。餅を入れている臼(うす)の部分になります。
そして,海の黒さとともに目がいくのがクレーター。このクレーターが多い地域を,海に対して陸(高地)といい,多くが高さが2000~4000m級の外輪山的な構造を持っています。
この夜は,無数にあるクレーターの中から,月面(表側)で一番大きいクレーターを観察してみましょう。
そのクレーターの名前はクラビウスクレーター。直径は約225km。かなり大雑把ですが,だいたい四国と張り合うほどの大きさといっていいのかもしれません。クラビウスクレーターは,輪郭が不明瞭なため,かなり古いクレーターであると判断されています。
次に,クレーターではありませんが,(表側の)陸地の部分で一番高い月の山(地点)を見てみましょう。それは,アペニン山脈に位置するホイヘンス山。アペニン山脈は長さが600kmにも及ぶ長大な山脈です。その中にあるホイヘンス山の標高は5,500m。ということは富士山よりも高い山ということになりますね。
38万km離れた地球から観察しているので,ピンポイントで詳細に見えるわけではありませんが,このあたりがそうなんだと意識しながら望遠鏡を覗いてみてください。
月面を観察する場合,倍率を思いっきり上げてみるのもオススメです。高倍率で見る月面は,すごい迫力で,クレーターの内部構造や谷のようなひび割れた様子などが観察できます。
そして,もう一息,高倍率にしてみましょう。
するとこんな感じ。※写真はコペルニクスクレーター。
ここで天体望遠鏡の『倍率』に注目!
天体観望会で望遠鏡を覗いていただいていると,『この望遠鏡は何倍なんですか?』と尋ねられることがあります。基本的に天体望遠鏡は倍率を変えることができるので,そのときどきによって倍率は違っています。
ちなみに,天体望遠鏡の倍率=天体望遠鏡の対物レンズ(鏡)の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離 となります。
例えば,焦点距離が1000mmの望遠鏡に,焦点距離が10mmの接眼レンズを取り付けると,
1000mm÷10mm=100 で,この場合の倍率は100倍ということになります。
対物レンズの焦点距離は変えることができませんから,使用する接眼鏡を交換することによって倍率を変えていきます。この式から,短い焦点距離の接眼鏡に換えることによって,倍率を高くすることができると読み取れるでしょう。
ただ,いくら倍率を変えることができるといっても無制限に高倍率にすることはできません。標準的な数値として,対物レンズの直径(口径)をmmで表した数値を2倍した倍率が有効的な最高倍率だとされています。すなわち,口径の大きな望遠鏡ほど高い倍率を得ることができるということです。当夜は,大型の望遠鏡にて,目一杯に高倍率をかけて月面のどアップを楽しんでみてください。
それでは,月の観察を堪能したところで,星空全体に目を向けてみましょう。
この円形の星図は,観望会当夜午後8時30分頃の星空を表しています。方位を記入してありますが,その方位を下にすると星座早見盤のように扱うことができます。
(注)一等星を紫色の文字で表示していますが,北極星,ふたご座のカストルは一等星ではありません。
はじめにもご紹介したとおり,大きな月が明々と照らしているので,全体的に暗い星々は見えにくい状況にあるかと思います。そんなときは一等星を目印にして周囲の星座などに注目してみましょう。
春の星空には一等星が3つあります。おわかりになるでしょうか?
しし座のレグルス,おとめ座のスピカ,そして,うしかい座のアークトゥルスの3つです。これらの明るい一等星をまず見つけておいて,それから近くの暗い星を探していくと,月明かりの中でも,星座の形も見つけやすくなるのではと考えます。
また,北の空に目を向けると,北極星を探すのに利用されることで有名な北斗七星が見えています。この北斗七星の柄の部分をひしゃくの部分とは反対方向に伸ばすと,うしかい座のアークトゥルスがあります。そのアークトゥルスをさらに南へ伸ばすとおとめ座のスピカがあります。この北斗七星の柄の部分から,アークトゥルス,スピカと結んでできる曲線が春の大曲線です。
こういった星々を結んでできる形や星座の観察には,天体望遠鏡は必要ありません。望遠鏡の近くで列を作って待つ間,いろいろな星の並びや形を見つけて楽しんでみてください。
星空全体に目を向けたところで,見頃となっている天体を観察することにしましょう。
春の星空には,『宇宙ののぞき窓』といわれる部分がいくつかあります。天の川銀河内の星々にじゃまされることなく,遠くの銀河を見ることができる『窓』のようなポイントがあるということです。ところが遠くの銀河は小さくて暗いものが多く,月明かりの下ではかなり見えにくくなるのも事実。そんなとき,月の明るさにも負けずにしっかり見える天体があるんです。
それが散開星団。散開星団とは,数多くの恒星が集まって集団になっているように見える天体です。ここで紹介しておきたいのは,かみのけ座(えっ,そんな星座あるの!?という声が聞こえてきそうですが)にある散開星団Mel.111(メロッテ111)。空の暗いところであれば,肉眼でもボンヤリと煙か霞のように見ることができます。場所は,ししのしっぽの左上(北東)。地球からは260光年ほどの比較的近くにある星団です。大きな星団なので,低倍率の方が星団の全体像を楽しむことができます。すなわち,低倍率を出しやすい小型の望遠鏡での観察がオススメということになります。
ちなみに,Mel.111星団が大きく,ボンヤリと見える星団がかみのけ座の多くの部分を占めているせいか,ボンヤリ=かみのけ,かみのけ座=Mel.111散開星団みたいに捉えられることもあるようです。
さて,かみのけ座ってあまり耳にすることのない星座でしょうか。中には不気味さを感じる人もいるかもしれませんね。妙な誤解を生じさせないよう,簡単にかみのけ座の神話を紹介しておきますね。
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かみのけ座は,元々は『ベレニケのかみのけ座』と呼ばれていました。
神話に出てくるかみのけ座は,琥珀色の美しい髪の毛をもつ,王妃ベレニケがモデルになっていると言われています。ベレニケはエジプトのエウエルゲテス(プトレマイオス3世)の妃。
この頃,エジプトは長い間アッシリアと戦争をしていました。戦に出て行った夫を,妻のベレニケはとても心配しますが,自分にはどうすることもできません。そこで,ベレニケは女神アフロディーテ(ビーナス)の神殿へ赴き,夫の無事を祈ります。そして,『もし夫が無事に帰ってくることができたら,私の髪を神殿に捧げます』という誓いを立てます。
ベレニケの祈りが通じたのか,エウエルゲテスは戦いに勝利することができました。
この知らせを聞いてベレニケはとても喜び,すぐに神殿へ出かけて,美しい長い髪の毛を切り落とし,誓ったとおりにアフロディーテへ捧げたのです。
その後,勝利した夫は凱旋帰国。ベレニケの元にかけつけると,彼女の美しかった髪の毛が切り落とされていることに驚きます。エウエルゲテスはベレニケに理由を尋ねますが,自分の無事を祈って髪を捧げたことを聞くと,王妃の深い愛情に改めて感動するしかありませんでした。
それからエウエルゲテスはベレニケと一緒に,感謝の気持ちを伝えるためアフロディーテの神殿へと向かいます。ところが,神殿に献上したはずのベレニケの髪の毛はどこにも見当たりません。
その夜のことです。天文学者コノンが星々を観測していると,天頂近くにある星がたいへん明るく輝いていることを発見します。この報告を聞いたエウエルゲテスは,女神アフロディーテがベレニケの愛情を称えて,その美しい髪の毛を天に上げてくれたことを知ったと伝えられています。
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いかがでしょうか。髪の毛ということから,怪奇な展開の物語を想像した方もいるかもしれませんが,ギリシャ神話の中では,美談ともいえるストーリーとなっているようです。
月明かりに負けずに観察できる天体には,散開星団の他にも球状星団(多くの恒星がお互いの重力で球形に集まった天体)というのもあります。
ヘラクレス座にあるM13はその代表格。高倍率で覗くと,星々がブツブツした感じに分離して見えて,星が密集してるイメージ。星団内の恒星の数は50万個以上といわれています。距離は25,000光年
球状星団は,大きな望遠鏡で観察するのがオススメです。ものすごい数の恒星が見えてきて見事なものです。
そして,月明かりに負けない天体をもう一つ。それは二重星。二重星というのは,2つ以上の恒星が接近して見える星をいいます。肉眼ではひとつの星にしか見えない星であっても,天体望遠鏡を使って観察すると2つの星に分かれて見えたりします。
二重星のうち,実際にお互いの星が引力で引き合って周り合っている二重星を『連星(れんせい)』,単に同じ方向に接近して見えているものを『(見かけの)重星』と区別して記されます。
二重星によっては,色の組み合わせがとても美しいものがあり,”単に2つの接近した星”ということ以上の楽しみ方があります。春の星空には,見応えのある二重星が数多くあるんです。
その二重星の中で,春を代表するものとして一番にオススメなのが,うしかい座のプルケリマ 。正式名はイザール。プルケリマとは,ラテン語で『最も美しいもの』という意味があります。実際に全天一の美しい二重星だと言う人も多いようです。
黄色っぽい主星に青みがかった伴星(二重星の暗い方の星)の組み合わせは,本当に美しく感じます。
その他にも,しし座にあるアルギエバという二重星も美しい天体です。
二重星には個性があり,色も離れ具合も違います。それぞれの組み合わせの妙をぜひ味わってみてください。これらの二重星は,かなり接近しているため,大きな望遠鏡で高倍率を使って観察するのがオススメです。
それからもう一つ,北斗七星の柄の方から2番目にミザールという名の星があります。こちらは,肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星です。
ミザールは,昔,アラビアでは兵隊の視力検査に利用されていたそうです。明るい方の星はミザール,暗い方の星はアルコルといいます。ミザールは2等星,アルコルは4等星。望遠鏡を使わずに観察可能な二重星ミザール,2つの星に分離できるかどうか,ぜひご自分の目で挑戦してみてください。
このミザールとアルコルの2星は,実際には4光年ほど離れています。それだけ離れていると,この2星は見かけの二重星である可能性が高いのですが,お互いの重力を及ぼし合い周回し合ってる連星の可能性も捨てられていません。
ところがこのミザールの方を望遠鏡の倍率を上げて観察してみると,ミザール自体も2つの星に見えてきます。この2つの星は,それぞれミザールAとミザールBと呼ばれている連星です。
ところがところが,このミザールAという星が実は連星であることがわかっています。この連星は大きな望遠鏡を使っても見ることはできません。こういう光学的に観察できない二重星を分光連星といいます。驚きはもう一つあります。ミザールBの方も分光連星。すなわち,ミザールは4重連星ということになるんです。
驚きはまだ続きます。このアルコルの方も実は分光連星。ミザールとアルコルが,もし連星だとしたら,6個の恒星が回り合っている連星系となります。
さて,春の星空の特長として,遠い宇宙が見える『宇宙ののぞき窓』と呼ばれている領域があるということを先に記しました。月明かりのために見え方はあまり良くないかもしれませんが,せっかくなので,その遠い遠い天体を一つ紹介しておきましょう。
この遠い天体というのは,太陽系のある天の川銀河(銀河系)の外にある銀河ということで系外星雲 (けいがいせいうん)と呼ばれています。おおぐま座にある系外星雲として,おおぐま座のM51を当夜の代表選手として紹介しておきましょう。
M51は,大小2つの銀河がつながっているため,子持ち銀河とも呼ばれることもあります。
写真に写すと,M51の渦巻きの1本の腕の先に,もう一つの小さな銀河(NGC5195)がつながっているような姿がわかります。天体望遠鏡ではそこまで明瞭に見ることは困難です。こうした系外星雲は,できるだけ大きな望遠鏡で観察してみてください。大小2つの雲のようなボンヤリが並んで見えたらバッチリです。
最後になりましたが,当夜は太陽系第4番目の惑星である火星が見えています。
火星は,地球のすぐお隣の惑星でありながら,観察しやすい惑星ではありません。火星は2年2ヶ月ごとに地球に接近します。すなわち,その接近したときに望遠鏡を向けるのが火星観察の王道となります。
前回の最接近は今年の1月25日で,既に5ヶ月近くが経過しています。火星の大きさが地球の半分と小さいこともあり,地球との距離が離れてしまうと倍率を上げてもそれほど大きくは見えません。当夜見える火星も,通常の恒星よりわずかに大きいだけの,『赤っぽい点』に近い見え方かもしれません。
次の火星接近は2027年2月20日。それまで,しばらく見納めとなるので,観察しておきたい天体の一つであるとはいえそうです。
ここまで,いくつか見どころとなる天体を紹介しましたが,春から夏の星空には他にも数多くの『見ておもしろい天体』がいくつかあります。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,紹介してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
また,大きな望遠鏡と小さな望遠鏡とでは見え方がかなり違ったりします。レンズを使った屈折望遠鏡と鏡を使った反射望遠鏡とでも,見え方に違いがある場合があります。倍率の違いによる見え方の違いもあります。同じ天体でも,いろいろな望遠鏡,いろいろな倍率で観察して,見え方の違いを味わってみるのもおもしろいのではと思います。
それでは,観望会でお会いできるのを楽しみにしています。
※HP中の円形星図,説明図はAdobe Illustratorで作成しています。
天体画像は,博物館会員が小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。
<注>
天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体には,個々にメシエを意味する『M』が付く個別番号が振られていて,一覧化され観測に活用されています。また,Melが付く天体は,イギリスの天文学者フィリベール・ジャック・メロッテにより,メロッテカタログとしてまとめられている星団です。