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【開催中止】3月26日(土)夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2022/03/26
更新日:2022/03/26

3月26日(土)開催予定の夜間天体観望会のご案内です。
天気予報では今夜は星空を楽しめる天候は望めません。
たいへん残念ですが開催中止と致します。

【日時】2022年3月26日(土)
    受付開始:18時30分~
    オリエンテーション:18時50分~
    観望会:19時~21時
【内容】オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】:大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度
【参加費】大人500円、大学高校生400円、中学小学生300円
     就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【募集組数】10組(40名程度)
【オリエンテーションの内容】
 ・今夜の星空のシュミレーション
 ・本日の天体望遠鏡の味わい方
 ・天体望遠鏡の見方・使い方説明
 ・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
【持参して下さい】
 ・多和地区は山間部にあり夜間は気温が下がります。防寒服やブランケットを持参下さい。
【雨天・明らかな曇天時】
 ・開催中止に致します
 *通常時は雨天・曇天時でも別プログラムにて室内開催していますが、コロナ禍が収束するまでは室
内での「密」を避けるため雨天・明らかな曇天時は開催中止と致します。
 *開催中止のお知らせは観望会当日の正午過ぎにホームページに掲載致しますので来館前にご確認下さい。

【参加方法】ネット予約が必要です。
*募集数に達しましたので予約受付を終了致しました。(3月4日0時45分)


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 天体観望会はどんな天体を観察するかで基本的に2つのタイプに分けられることができます。その分かれ目のポイントは月があるかないか(月が見えているかどうか)です。三日月よりも大きな月があると,その月明かりのために暗い星々,星雲や星団が見えにくくなります。そんな理由から月明かりがある観望会では,月面や惑星などが主な観望対象となる可能性が高くなります。一方,月明かりがない夜はその逆ということになります。
 この3月26日は月明かりがありません。月面観察は不可能ですが,暗い天体も含めて種々の星雲星団をたくさん見ることができそうな観望会であるわけです。
 それでは,当日の夜空にはどんな星座や星々が見えているのでしょうか。まずは全天星図で確かめてみましょう。

0326_2上の全天星空図は,観望会当夜の午後8時過ぎの星空です。
※上下左右に記してある方角を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。

 いかがでしょうか。
 まず,明るく目立つ一等星(円形星図の中の大きな○)に注目してみましょう。どんな一等星が見えているか探してみてください。
 オリオン座のベテルギウス,おおいぬ座のシリウス,こいぬ座のプロキオン,この3つの一等星を結んでできる三角形が冬の大三角。そして,ぎょしゃ座のカペラ,おうし座のアルデバラン,オリオン座のリゲル,おおいぬ座のシリウス,こいぬ座のプロキオン,ふたご座のポルックスの6つの一等星を結んでできる六角形が冬のダイヤモンド
 冬の星々が,まだまだ俺たちが主役だとばかりに幅をきかせているようにも見えます。けれでも東方面には,うしかい座のアークトゥルス,しし座のレグルス など春の星座・一等星が上ってきています。
 3月,暦の上では春ですが,夜半前の空は西半分が冬の星空,東半分が春の星空となっているのです。

 そもそも一等星の数は全天で21個。そのうち!日本(香川)から見えるのが16個。そのうち!冬の星空に見えるのが7個,春の星空に見えるのが3個。冬と春の一等星は合計10個。全一等星のうちのおよそ半分が,この夜空に見ることができるというわけです。せっかくですから,この10個,見ておきたいですね。
※冬:①カペラ,②アルデバラン,③リゲル,④ベテルギウス,⑤プロキオン,⑥シリウス,⑦ポルックス
 厳密にはカノープスも冬の一等星に含まれますが,低高度で地平線に近く,香川県平地からはほぼ観察は困難なため,上記の7個という数には含めていません。 
 春:①アークトゥルス,②レグルス
※③スピカ(この夜は,まだ山に隠れていてちょっと難しいかもしれません。)
 カストルの明るさは,1.58等なので一等星には含まれません。

 これだけ多くの明るい一等星が見えていると,それを目印に星座の位置や形を追うことができそうです。観望会スタート前のオリエンテーションでの解説を聞きながら,いくつ一等星が見つけられるか,また,どんな星座が見つけられるかちょっと見上げてみてください。

 星座には個々にまつわる神話もあります。以下,いくつかその神話も紹介しながら,見ておもしろい天体を解説していきましょう。

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 上図は,ほぼ西半分を占める冬の星座たち。その中から代表して,おうし座とオリオン座を紹介しましょう。
 ギリシャ神話では,おうし座の牡牛は最高神ゼウスが変身した姿だとされています。
 フェニキアの王女エウロパに一目惚れしたゼウスは,純白の牡牛になって近づきます。そしてエウロパを背に乗せて野を駆け空を飛び,不時着した真新しい土地で二人は仲良く暮らします。その土地には娘エウロパの名が付けられるのですが,現在もその名称が残っています。
 ここでクイズですが,そのエウロパの名が付けられた土地ってどこだかおわかりになりますか?
・・・・・<解答は一番下に>

 おうし座を見つけるポイントは,オリオン座の右(西),赤っぽい色の一等星アルデバラン。アルデバランがおうしの頭部(左目)になります。
 おうし座には有名な星団があります。アルデバランの少し右(西)にぼんやりした天体が肉眼でもわかると思います。散開星団(恒星の集まり)のすばるです。プレアデス星団という別名をもっています。
 平安時代に,清少納言が『枕草子』の中で「星はすばる・・・」と記しています。どういうことかというと,「数ある星の中でもすばるは素晴らしい・・・」ということです。昔の人も注目していたんですね。
 すばるは比較的若い星の集まりで,誕生してからまだ数千万年しか経っていない星々です。距離は440光年。比較的近いところにある天体です。でも,数千万歳で若いって,440光年でご近所さんって,宇宙のスケールの大きさを感じることができますね。
※440光年=光速300,000km/秒×60秒×60分×24時間×365日×440年=約400兆km
 ただ,400兆kmと言われても・・・よくわからないかもしれません。
 地球と月の間の距離を1mmに超縮小して考えると,地球からプレアデス星団までは,高松から仙台くらいまでの距離になります。

 このすばる,視力の良い人であれば肉眼でも5~7個程度の星を数えることができると言われています。実際に確かめてみてください。ちなみに,自動車メーカーのスバル。車のエンブレムには6つの☆マークが描かれていますが,このすばるがシンボル化されたものだそうです。

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 おうしの左の角先の星のそばには,かに星雲(M1) と呼ばれる星雲があります。
 藤原定家の日記とされる『明月記』に,『1054年4月中旬の午前2時頃,オリオン座の北付近に木星ほどの明るさの星がいきなり現れた』と記されています。これは超新星(爆発)が起きて,それが肉眼でも見えたということ。この天文現象は,日本に限らず中国や中東方面にも観察記録が残っていて,昼間でも23日間ほど見えていたとの記述もあります。かなりの明るさだったのでしょう。
 超新星とは,大きな質量の恒星が進化の末期に大爆発して,突然明るく輝き出す天体とその現象。このかに星雲は1054年に爆発した超新星の残骸で,今も猛烈なスピードで膨張しています。
 『かに』というのは,アイルランドの天文学者が大きな望遠鏡で観察した際,星雲の微細なフィラメント構造が,かにの足に見えたことからそう呼ばれるようになったと言われています。
 下の画像中,右上に見えているのがM1。望遠鏡で見るとぼんやりとしたひし形の雲状に見えます。(画像左下の明るい星はおうし座の角先の恒星です)

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 次にオリオン座。これもよく耳にする冬の代表的な星座の一つ。
 そのオリオンは神話の中で一番の腕利きの猟師。そして海神ポセイドンを父にもつため,なんとオリオンは海の上を歩くこともできます。けれども腕っ節の強さなど,力自慢ばかりいたので神々から嫌がられて毒サソリを差し向けられます。そのサソリに足を刺されてオリオンは絶命。それ以来,オリオン座はさそり座が沈んでからでないと,(東から)上ってこないとか・・。

 オリオン座は,赤っぽいベテルギウスと青白いリゲル,そしてその中間に3つの2等星が斜めに並ぶ特徴的な形をした星座で,初心者でも簡単に見つけることができる星座です。
 このベテルギウスとリゲルは,それぞれ,『平家星』『源氏星』という和名を持っています。平家の旗色が赤,源氏の旗色が白ということと,中間の3つ星をはさんで対峙してるかのようすから,そう名付けられたのではないかといわれています。

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 ベテルギウスは,今にも終末を迎えそうな高齢の星であり,大きさは太陽の800倍以上もあると考えられている超巨星。
 一方リゲルは,太陽の80~90倍という大きさの若い星。リゲルは伴星(ばんせい)といって,リゲル本星の周りを公転する小さな恒星をお伴にもっています。こうした近接して見える2つの恒星を二重星といいます。二重星には,2つの星が距離的には離れているのですが,見かけ上,たまたま近くに見える(見かけ上の)重星と,お互いの引力によって公転し合っている連星とがあります。リゲルはこの実際に2つの星が回り合っている連星の方です。天体望遠鏡の倍率を多少高めにして観察すると,明るいリゲル本星にくっついて,小さくかすかに伴星がポチッと見えてきます。

0326_7リゲル:画像右下に小さな伴星が写っています

 オリオン座の三つ星の下(南)には,オリオン座大星雲(M42)と呼ばれる星雲があり,肉眼でもボンヤリと見えています。この付近には星間ガスが大量にあって,今まさに星が誕生しつつある場所だといわれています。天体望遠鏡を使ってこの星雲を拡大してみると,中心部にトラペジウムと呼ばれる4つの恒星を観察することができます。どれも誕生したばかりの赤ん坊の星々で,これらの星々がオリオン座大星雲を光り輝かせています。

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 続いて,東方面に控える春の星座たちです。

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 春の星座ではしし座に注目してみましょう。
 しし座はオリオン座の左(東)にあるプロキオンを通り越して,もう少し左へいったところに見えています。星占いの12星座にも登場するしし座ですが,いわゆる百獣の王ライオンがモデルではなくて,このししは人を食べる怪物です。この怪物,ギリシャ神話に登場するお化けライオンで,物語の中では国王から命令を受けたヘラクレスによって退治されてしまうことになっています。しし座という名前からの浮かぶイメージとは違って,あまりかっこいい話ではなさそうですね。

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 しし座にある一等星はレグルス。レグルスとはギリシャ語で(小さな)王という意味があります。また,獅子の心臓という意味もあるそうです。
 獅子の心臓がレグルスであるとすると,その周囲付近がライオンの胸になります。ということはそのもっと上が頭。クエスチョンマークを裏返したように形に見えると思いますが,そこが頭から首の部分ですね。
 とすると,レグルスの左下(東)方向に腰や後ろ足があるはずです。
 この後ろ足の部分に,たいへん遠くにある『系外星雲』(銀河系の外側にある銀河)が見えます。M65,M66,NGC3628の3つの星雲(下の画像)です。距離は約3500万光年。私たちの銀河系(天の川銀河)の直径がおよそ10万光年程度といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠さにある天体であるわけです。さきほど紹介したすばるまでのさらに80,000倍ほどの距離。そんなに遠くにある天体ですから,暗くてボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。

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 しし座を見つけたら,プロキオンの方に少し後戻りをしましょう。
 レグルスとプロキオンの間に,かに座があります。かに座も星占いに登場する星座ですが,明るい星がないため,全体の形をたどるのが難しい星座でもあります。
 神話では,先に紹介したヘラクレスvsお化けライオンの戦いの途中,劣勢と思われたお化けライオンの助っ人に差し向けられたのが,このお化けがに。ところが助っ人の役割をあまり果たせず,ヘラクレスにあっけなく踏まれてつぶれてしまいます。残念っ!
 このかに座のど真ん中に,プレセペという散開星団があります。散開星団は,その全体を見渡せる低倍率での観察が向いてるかもしれません。

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 そして春の星空といえば,外せないものに有名な北斗七星があります。
 天頂から北方面に目をやると,特徴的なひしゃくの形をした北斗七星が見つかります。北極星を探すために利用されるあの星の並び(北斗七星は星座ではありません)です。
 この北斗七星の柄の方から2番目の星はミザールという名の星です。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星。アラビアの方では昔,兵隊の視力検査に利用されていたそうです。果たして2つの星に見えるでしょうか。ぜひご自分の視力?眼力?を試してみてください。
 明るい方の星がミザールで,暗い方の星はアルコルといいます。そしてこのミザールの方を望遠鏡でアップして見ると,こちらもさらに二重星になっているのがわかります。こちらの2星はお互いが2万年周期で回り合っている連星です。

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 ここまで,いくつか見所となる主な天体を紹介しましたが,冬から春の星空には他にも数多くの『見ておもしろい天体』がたくさんあります。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,そして紹介をしてくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体について詳しく知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
 まだまだ夜の冷え込みも厳しい時期です。防寒には十分に気を付けて,いろいろな天体の観望をじっくりとお楽しみください。

 また,当館の観望会では様々な天体望遠鏡が準備されています。
 大小,大きさの異なる望遠鏡,鏡を使った反射望遠鏡とレンズを使った屈折望遠鏡,同じ天体でもどう違って見えるのか,ぜひ確かめてみてください。

<注>
 星雲星団の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。Mは観測者メシエのMです。
 『NGC』の記号は,1888年に改訂された星雲・星団および銀河をまとめた新しいカタログに記載されている天体の個別番号。

☆★今回の観望会で見ておきたい天体リスト
 おうし座,オリオン座,ふたご座,冬の大三角,冬のダイヤモンド,
 ベテルギウスとリゲル(伴星も),すばる,オリオン座大星雲(M42),かに星雲(M1),
 かに座,プレセペ(M44),
 しし座,M65,M66,NGC3628,
 北斗七星,ミザール 他

※HP中の星図,星座絵は,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。
 イラスト,円形の全天星図はIllustratorで作図しています。
 天体画像は,博物館会員が小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。

※クイズの答え→ エウロパ(Europe)→ ヨーロッパ(Europe)

原稿作成:天体望遠鏡博物館会員F(徳島在住)

 

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