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【開催中止】3月夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2020/03/28
更新日:2020/02/23

3月28日(土)夜間天体観望会は中止致します

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、天体望遠鏡博物館は3月7日(土)から3月29日(日)まで臨時休館することに致しました。3月に予定されていますイベントはすべて中止致します。すでに予約申し込みされている皆様をはじめ来館予定の皆様にたいへんご迷惑おかけ致しますが事情ご賢察の上ご理解賜りますようお願い申し上げます。

中止された夜間天体観望会の概要

【日時】
2020年3月28日(土)19時00分~20時30分(受付18時30分~)

3月28日星空案内

2020年第一回目の観望会となる3月28日開催の天体観望会での見所を紹介します。
 
 この日の日没は18時20分頃。観望会開始予定の19時には空は暗くなってきてはいますが,まだしばらくは空に明るさが残ります。この薄明るい状況を『薄明(はくめい)』といいます。この薄明の頃から空をじっくり見上げていると一番星が見つかります。
 この日の夕方に見つかる一番星はまちがいなく金星。夕方,西空に見える金星を『宵の明星(よいのみょうじょう)』といいます。明るさは-4等を超えていて,少々空に明るさがあっても簡単に見つかる明るさです。
 
 下の図は,19時頃の南から西方面の空の様子です。
 
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西空に,ひときわ明るく目立つのが金星。そのすぐ下には月齢4の細い月が並んでいます。この2つの天体が暗くなりかけている夕空にはっきりと見えているはずです。これだけでも美しい情景と感じることができると思います。
 その景色を肉眼で十分に味わったら,次はいよいよ天体望遠鏡で覗いてみましょう。
 
  まずは,その宵の明星の金星から。
 金星は,地球の一つ内側を公転する『内惑星(ないわくせい)』。内惑星は満ち欠けをします。
 
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上図を見ていただくと,金星が満ち欠けする理由がおわかりになるかと思います。公転している金星の位置により,太陽光を反射した金星の光っている部分が(地球からは)違って見えるわけです。まるで月の満ち欠けと同じような感じですね。
 金星は,図中にある『東方最大離角』を観望会3日前の3月25日に過ぎました。このときは,見かけ上,金星が太陽から東側に一番離れて見えることになります。
 この頃,望遠鏡で金星を覗いてみると,ほぼ半月状に見えているのが上図からもわかりますね。
 
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望遠鏡で覗く金星,半月の形はとてもよくわかるのですが模様は一切見えません。それは金星が分厚い二酸化炭素の大気や大量の雲に覆われているからです。そのため,ものすごい温室効果があり金星の表面温度は500℃とも言われています。
 
 ちょっと金星の天気予報をしてみますね。
『今日の金星の天気です。ずっと昔からですが今日もやっぱり曇りでしょう。気温は500゜C前後で超高気圧に覆われています。やけどに気を付けてください。』 
 なんだかすごい世界のようです。
 金星に関してビックリなことは他にもあります。
 金星は自転の向きが地球や他の惑星とは反対向き。すなわち,金星では『太陽は西から昇って東へ沈みます』。どこかのアニメソングみたいです。
 そんなことを考えながら望遠鏡を覗いてみると,すぐお隣の惑星も見え方もひと味違ってくるかもしれませんね。
 続いて,金星のすぐ近くに見えている月に望遠鏡を向けてみましょう。
 月齢は4ですが,まだ三日月状です。
 細い月は,太陽の光が斜め横から当たっている状態にあり,クレーターや凸凹の地形の様子がコントラスト良く見えます。望遠鏡で全体像を眺めたり,倍率を上げてクレーターの細部を観察したりしてみてください。
 
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 上の写真は観望会当夜と同じ月齢4の月です。月の右下に見える浅黒く丸い形の地形は,『危難の海(危機の海)』と呼ばれています。少し楕円形をしていますが,長辺が570kmほどあり,おおざっぱにいって縦にも横にも四国の2倍強。広いと感じますか?それほどでもないと感じますか?
 月って大きい?,小さい?・・・。
 
 さて,金星と月を見て終わる頃には,空はかなり暗くなってきてるでしょうか。
 それでは,星空全体を眺めてみましょう。
 
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 上の図は,19時半頃の南方面の星空です。南から西方向には,まだ冬の星座たちが見えていて,南から東方向には,しし座,おとめ座といった春を代表する星座が昇ってきています。
 ただ,西に明るく光る月の影響で,若干星座は見つけにくくなっているかもしれません。
 オリオン座→ (左下へ)シリウス→ (左上に)プロキオン→ (左へ)レグルス・しし座と,明るい一等星や見つけやすいオリオン座を見印にして,西から東へ,冬の星座から春の星座と追ってみてください。
 
 それでは,西の方からいくつかの天体を紹介してみましょう。
 金星の左上にぼんやりした天体が一つ見えています。おうし座にある散開星団の『すばる』です。『プレアデス星団』という名前も持つ星の集まりです。平安時代に清少納言が枕草子の中で「星はすばる・・・」と記しています。どういうことかというと,「数ある星の中でもすばるが良い・・・」ということです。昔の人も注目していたんですね。
 すばるは比較的若い星の集まりで,誕生してからまだ数千万年しか経っていない星々です。数千万歳でも若いってすごいことですよね。距離は約400光年。比較的近距離にある天体です。
 通常の視力の良い人であれば肉眼でも5~7個程度の星を数えることができると言われていますが,実際にご自分の目で確かめてみてください。
 
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    次に,おうし座から少し東(左)の方に目を向けて,冬の代表的な星座NO.1であるオリオン座を見てみましょう。オリオン座は,赤っぽい『ベテルギウス』と青白い『リゲル』,そしてその中間に3つの2等星が斜めに並ぶ特徴的な形をした星座で,初心者でも簡単に見つけることができる星座です。
 まずは,そのオリオン座で目立っている赤と青白の2つの星,ベテルギウスとリゲル。それぞれ,『平家星』『源氏星』という和名を持っています。平家の旗色が赤,源氏の旗色が白ということと,中間の3つ星をはさんで対峙してるかのようすから,そう名付けられたのではないかといわれています。
 
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 ここで,今注目されている情報を一つ紹介しましょう。
 冬の星空の中でも特徴的な星の並びとして有名な『冬の大三角』があります。『冬の大三角』は,オリオン座の一等星ベテルギウス,おおいぬ座の一等星シリウス,こいぬ座の一等星プロキオンの3つの星を結んでできる三角形を指します。明るく目立つ一等星3つで構成される形なので,簡単に見つけることができるはずなのですが,現在,ベテルギウスが少し暗くなっているため,冬の大三角が以前ほど目立っていない状態にあります。
 ベテルギウスは星の終末期に入った星です。星が寿命を迎えると,膨らんだり縮んだり,明るくなったり暗くなったりを繰り返します。ベテルギウスは元々変光星で,明るさを変える星ではあるのですが,今は過去最高に暗くなっていて,もしかしたら星の最期としての爆発(超新星爆発)が近いのではとうわさされているのです。2等星近くに暗くなって,いつ爆発するかわからない恒星ベテルギウス,見物です。
 
 一方リゲルは,こちらは太陽の80~90倍の大きくて若い星。リゲルは『伴星(ばんせい)』といって,リゲル本星の周りを公転する小さな恒星をお伴にもっています。こうして近接して見える2つの恒星を『二重星』といい,二重星には,見かけ上,2つの星がたまたま近くに見える『重星』と,お互いの引力によって公転し合っている『連星』とがあります。リゲルはこの連星の方です。倍率を多少高めにして覗くと明るいリゲル本星にくっついて,小さくかすかに伴星が見えてきます。
 
 そして,オリオン座の三つ星の下(南)には,『オリオン座大星雲』と呼ばれる星雲があり,肉眼でもボンヤリと見えています。この付近には星間ガスが大量にあって,今まさに星が誕生しつつある場所だといわれています。天体望遠鏡を使ってこの星雲を拡大してみると,中心部に『トラペジウム』と呼ばれる4つの恒星を観察することができます。この星雲付近で誕生したばかりの赤ん坊の星々です。
 低倍率でオリオン座大星雲の全体像を,そして少し倍率を上げて中心部のトラペジウムを観察してみてください。
 
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 次に冬の代表であるオリオン座から,春の代表的な星座の一つ,しし座を目を移してみましょう。
 しし座はオリオン座の左(東)にあるプロキオンを通り越して,もう少し左へいったところにあります。 星占いの12星座にも登場するしし座ですが,実はかっこいい百獣の王ライオンのしし座ではなくて,人を食べるお化けライオンなんです。ギリシャ神話に登場するこのお化けライオンですが,物語の中では,大神ゼウスからの命令を受けたヘラクレスによって退治されてしまうことになっています。しし座という名前からの浮かぶイメージとは違って,あまりかっこいい話ではなさそうです。
 
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 しし座にある一等星は『レグルス』。レグルスとはギリシャ語で(小さな)王という意味があります。また,獅子の心臓という意味もあるそうです。
 獅子の心臓がレグルスであるとされるように,この辺りがライオンの胸になります。ということはそのもっと上が頭。クエスチョンマークを裏返したように形取れるところが頭ですね。すなわち,しし座のライオンは右(西)を向いています。
 とすると,レグルスの左下(東)方向に腰や後ろ足があるはずです。
 この後ろ足の部分に,たいへん遠くにある『系外星雲』(銀河系の外側にある銀河)が見えます。『M65』『M66』『NGC3628』の3つの星雲(下の画像)です。距離は約3500万光年。私たちの銀河系(天の川銀河)の直径がおよそ10万光年程度といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠さにある天体であるわけです。そんなに遠くにある天体ですから,暗くてボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。
 
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 春の星座がある方向は,私たちの銀河系の中でも,特に恒星が少ない方向にあたるため,こうした遠くの銀河が恒星の光に邪魔されずに見えているのです。春の星座である,おとめ座やかみのけ座には,この3つの系外星雲以外にも,遙か遠くの系外星雲がたくさん見えています。まあ,遠すぎて暗すぎて,小さな望遠鏡では良く見えない天体ばかりです。そんな理由から,遠くて暗い天体を見る場合は,できるだけ口径の大きな望遠鏡で観察することをおすすめします。
 
 続いて,春の二重星を紹介しましょう。
 二重星というのは,2つ以上の恒星が接近して見える星をいいます。肉眼ではひとつの星にしか見えない星も,天体望遠鏡を使って観察すると2つの星に分かれて見えたりします。リゲルの紹介のところでも少し記しましたが,実際にお互いの星が引力で引き合って周り合っている二重星を『連星(れんせい)』,ただ単に同じ方向に接近して見えているものを『(見かけの)重星(じゅうせい)』と分けられています。
 二重星によっては,星の色の組み合わせがとてもきれいなものがあり,”単に2つの接近した星”ということ以上の楽しみ方もあります。
 
 それでは接近の具合に寄って,見やすいものから3つほど紹介しましょう。
 1つ目は,北斗七星の柄の方から2番目となるミザールという星です。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星。アラビアの方では昔,兵隊の視力検査に利用されていたそうです。果たして2つの星に見えるでしょうか。ぜひ試してみてください。
 明るい方の星が『ミザール』で暗い方の星は『アルコル』といいます。このミザールを望遠鏡でアップして見ると,こちらもさらに二重星になっているのがわかります。この2星はお互いが2万年周期で回り合っている連星です。
 
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 2番目に紹介するのは,りょうけん座の『コル・カロリ』という星。見つけ方は,「しし座のおしりと北斗七星の柄の間でちょっと目立っている星を探せ」,です。小さな望遠鏡でも見やすい二重星です。明るい星の方は3等星で黄色みのかかった白。暗い方の星(伴星)は6等星で青紫っぽい色。どちらも微妙な色合いです。また,人によって違う色に見えるという話もあります。さて何色に見えるか,近くの人と確かめ合ってみてください。
 
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 3番目に紹介するのは,しし座の『アルギエバ』。こちらは600年ほどの周期で回り合っている連星です。両方とも黄色っぽい色をしています。金色と黄色だという人もいます。けっこう近寄っている二重星です。さて2つに分かれて見えるでしょうか。
 口径の大きな望遠鏡ほど,細かい部分まで見分けられます。二重星の見え方がどう違うのか,大小いくつかの望遠鏡を見て比較してみるのもおもしろいですよ。
 
 
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 いくつか見所となる天体を紹介しましたが,冬から春の星空には他にも数多くの「見ておもしろい天体」がたくさんあります。ここに記しているもの以外の天体も,博物館のメンバーが望遠鏡に導入してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,それがどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
 
☆★今回の観望会で見てみたい天体リスト
 細い月,
 おうし座,オリオン座,ふたご座,冬の大三角,
 爆発が近い?ベテルギウス,リゲル(と 伴星),すばる,オリオン座大星雲,
 しし座,しし座の銀河系外星雲,北斗七星,ミザール,コル・カロリ,アルギエバ 他
 
※HP中の星図,星座絵は,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。
 天体画像は,博物館会員が小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。天体の軌道図は作図をしています。

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