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秋の一つ星と球状星団

[天文現象] スケジュール:2019/09/15
更新日:2019/09/15

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9月中旬 午後9時ごろ 香川県の星空

■すっかり見慣れた、夏の大三角がやや西に傾くころ、昇ってくるのは、この季節の星空の案内役、秋の四辺形です。秋の四辺形はベカスス座の一部です。神話や昔話ではペガサスですが、日本の天文台ではペガスス座と呼ぶことに決めています。星好きの皆さんはそう呼んでください。さっそく余談になりますが、カシオペヤ座も同様で天文台ではカシオペアとは言いません。
秋の四辺形を使うと便利に星や星座を探すことができます。今日は手はじめ、入門編ということで、やさしいものから始めようと思いますが、実は、都会の明るい星空では、この秋の四辺形を探すことに戸惑うかもしれません。夏の大三角は、明るい一等星ですぐに見つけることができますが、秋の四辺形は二等星で構成されるため、夏のそれに比べて、格段に暗くて見つかりにくいはずです。最初はちょっと大変かもしれませんが、この秋の四辺形を頑張って探してみてください。一度見つけて、こつをつかむと、次からは結構やさしく見つかります。
この秋の四辺形を見つけたら、この四辺形の右側の辺を下に伸ばしてみてください。明るい星がすぐに見つかるはずです。これは、みなみのうお座の一等星でフォーマルハウトという名前で呼ばれています。みなみのうおは漢字で書くと南の魚です。有名な、うお座とは別の星座です。みなみのうお座はこの一等星フォーマルハウト以外は暗い星ばかりなので肉眼では見つけることが大変かもしれません。低倍率の双眼鏡を使うとこの一等星を目印に右側(西側)にシッポをとった魚の形をつなぐことができます。
みなみのうお座の一等星、フォーマルハウトは探せましたか。きっと、秋の四辺形を探すより簡単だったかもしれません。それもそのはず、フォーマルハウトは秋の星座の中、唯一の一等星で、とても目立って輝いています。そのため、この星は「秋の一つ星」と呼ばれることもあります。

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左:M15球状星団 右:M2球状星団 10倍程度双眼鏡観察のイメージ(CG)

簡単すぎましたね。では、いきなり中級編です。これから説明する天体を観察するには、双眼鏡や望遠鏡が必要になります。お手元にこれらのものがない時は、博物館の夜間天体観察会やお近くの天文台の一般公開などに参加することをお勧めします。
ベカスス座の鼻先付近にM15その下にM2と番号のつけられた二つの球状星団があります。球状星団とは、その名の通り非常に多くの星が球状に密集した天体です。双眼鏡での観察では決して華やかで美しいという印象を持つことは少ないかもしれませんが、この限りなく広大な星空の中に、小さく淡い天体を見つけた時の喜びは決して小さくはないはずです。
一方、望遠鏡での拡大観察の印象は一変するはずです。球状星団ごとに、星の密度や輝き、色や広がりなど、それぞれ異なる個性があり、とても美しく、迫力あります。その違いを比べてみるのはとても楽しいものです。

日に日に秋も深まり、日に日に夜の長さも長くなります。秋の宵、さわやかな秋風を感じながら秋の夜空の天体観察を存分にお楽しみになってください。

星座名を学術用語として使用する場合、ひらがな、またはカタカナで表記することが定められています。
文中の図表はプラネタリム表示用フリーソフトStellarium 0.19.1を使用しました。 (担当: fuji )

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