5月11日夜間天体観望会

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【日時】2019年5月11日(土)19時00分~20時30分 (受付18時45分~)
【内容】19時からオリエンテーション後、19時30分前後から天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】:大型望遠鏡数台、中型望遠鏡10台程度、大型双眼鏡数台、小型双眼鏡40台程度
【参加費】大人500円、大学高校生400円、中学小学生300円、就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【参加申込】予約受付終了致しました

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション(教室内)
・本日の天体望遠鏡の味わい方(教室内)
・天体望遠鏡の見方・使い方説明(教室内)
・双眼鏡の使い方説明(教室内)
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明(教室内)
・双眼鏡・天体望遠鏡の操作練習(校庭)

【雨天・曇天時の内容】
・天体望遠鏡の操作体験
・天体模型を使った観望疑似体験
・シュミレーションソフトを使った今夜の天体紹介
・会員の話など
当日の状況に合わせて開催しています。
当日の予約キャンセルは連絡不要です。

本年3回目の観望会となる5月11日の天体観望会での見所を紹介していきます。

夏至まであと一ヶ月と少しになっていて,日没もじわじわと遅くなってきています。そのため,空が暗くなるのも遅くなるため,実際に星がしっかりと見えてくる時刻は遅めになります。
この日の日没は午後7時の少し前。その時刻でも空には青みが残っているでしょう。
そのようなまだ明るさの残る空にも,月は明るく見えています。月齢は6.5とほぼ半月の月が見えています。

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今宵の観望会は,まずこの月から始まる観望会になりそうです。

511_2見えているのはほぼ半月ですが,正確には翌日の12日が半月です。半月には『上弦の月』と『下弦の月』という2つの名称があります。南に向かって左側が欠けている月が上弦の月。これは月を弓矢に見立てたときに,弦が上を向いて沈んでいくことから,『上弦』と名付けられたのではという説があります。すると下弦の月は,弦が下を向いて沈んでいくことになります。下弦の月は南に向かって,右側が欠けている半月で,だいたい深夜から明け方頃に見やすい半月です。まあ,深夜ということで多くの人にはあまり目に付く月ではないですね。
 さて,今夜の月は,その上弦の月の一日前の月です。よく見るとちょうど半分よりもほんの少しへこんでいるように見えるでしょう。
月面には,山と呼ばれるクレーターが多い高地と,海と呼ばれる平坦な低地とがあります。海の部分は黒っぽく見えています。満月のときはこの海の部分の全体像が,うさぎの餅つきのように例えられたりします。今夜は半分の月なので,うさぎの形を見つけるのは難しいと思います。それでもがんばって探してみると,真ん中辺りに,逆さまになったうさぎの頭(顔)と2つの耳がわかるでしょうか。
そのうさぎの頭(顔)になる部分が,『静かの海』と名付けられているところで,アポロ11号が着陸して,初めて人類が月面に降り立った地点としても有名な場所でもあります。

何となく半月の全体像がわかったら,次は倍率を上げて月面をアップして見てみましょう。
望遠鏡で月を拡大して見る場合,三日月頃から半月過ぎ頃までの月が都合がいいんです。というのも,その頃の月は,太陽光が横や斜めから月を照らしている状態にあるため,月面の凸凹感がよくわかります。よく子どもたちが懐中電灯をあごに当てて,下から顔面を照らしながら『お化け~』,なんて遊んだりしますが,それは光が真下から当たることによって,顔の凸凹がコントラスト強く見えるのをおもしろく感じているんだと思います。月面もこれと同じです。この夜の月の欠け際の部分は,太陽光が横から当たっているため,クレーターの立体感や,地表の詳しい様子が見やすくなっています。ぜひ,天体望遠鏡を通して,いろいろな倍率をリクエストしながら眺めてみてください。きっと息をのむような迫力のある月面に出会えるはずです。

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月の大きさは地球の約4分の1。地球からの距離は約38万㎞。ジェット機で行くと3週間ほどかかる距離にあります。月面には大気がないため,風は吹かず雲もなければ雨も降りません。昼と夜とが15日ずつ続き,昼は地面の温度が直射日光を受けて100℃以上になり,夜は-100℃以下に下がるというとんでもない世界です。
この月の起源はというと,放浪していた月が地球に捕獲されたとする他人説,地球と月がほぼ同時に誕生したとする兄弟説など様々な説がありますが,最近では,火星サイズの惑星と地球との衝突によって地球から飛び出したとする,ジャイアントインパクト説なるものが注目されています。
月といえばクレーター。上の写真にもたくさんのクレーターが写っていますが,このクレーターの成因についてはほとんどが隕石の衝突によるもので,一部,火山でできたものも見つかっているようです。
私たちにとって一番身近な天体である月,今夜はじっくりと眺めてみて下さい。

そうはいっても,月ばかりでもおもしろくありませんよね。
月明かりに負けずに,星座の方にも目を向けてみましょう。星座を探すポイントになるのは1等星です。

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上の図は,5月11日の午後8時頃の南からやや東方面の星空です。しし座,おとめ座といった春を代表する星座がしっかりとその姿を見せてきていますね。一方,反対の西空には,冬の代表的な星座であるオリオン座が沈みかけているはずです。

春の星空に見える1等星は3個。全部言えますか?
まずは,しし座のレグルス。全天には21個の1等星がありますが,レグルスはその中でも一番暗い1等星です。意味は『小さな王』。続いて,おとめ座のスピカ。意味は『(麦の)穂先』。おそらく,西洋では,麦の収穫時期とスピカの見える頃合いに,何かのマッチングポイントがあったのでしょう。そして,うしかい座のアークトゥルス。太陽の20倍以上もある大きな恒星です。意味は『熊の番人』。近くにはおおぐま座があります。熊の動きを見張っているのでしょうか。
この3星は1等星なので,月明かりに負けることなく簡単に見つけることができると思います。これらの1等星が見つかったら,それを頼りに,しし座,おとめ座,うしかい座の形を追ってみてください。

続いて北から東の方向に目をやると,おおぐま座が高い位置に見えています。(下図参照)

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まあ,おおぐま座というよりも,『北斗七星』といった方が有名で,見つけやすいかもしれませんね。ひしゃくの形をした7つの星がつくるあの形です。北斗七星は星座の名前ではなく,おおぐま座の一部の特徴的な星の並びを指します。北斗七星を形作るほとんどが2等星で,1等星ほどではないけれど,月明かりにも負けずにしっかりと見えているはずです。

春の星空は,『宇宙ののぞき窓』といわれるほど,遠くの宇宙が数多く見えたりするのですが,月明かりがあると暗くて小さな天体は非常に見えにくくなります。それで,半月の夜における月以外の見物といえば,月明かりに負けないで見える二重星ということになってきます。
二重星というのは,2つ以上の恒星が接近して見える星をいいます。肉眼ではひとつの星にしか見えない星も,天体望遠鏡を使って観察すると2つの星に分かれて見えたりします。実際にお互いの星が引力で引き合って周り合っている二重星を『連星(れんせい)』,ただ単に同じ方向に接近して見えているものを『(見かけの)重星』と分けて記されます。
二重星によっては,色の組み合わせがとてもきれいなものがあり,”単に2つの接近した星”ということ以上の楽しみ方もあります。

それでは星同士の接近具合というか,見やすいものから順に3つほど紹介しましょう。

1つ目は,北斗七星の柄の方から2番目となるミザールという星です。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星。アラビアの方では,昔,兵隊の視力検査に利用されていたそうです。果たして2つの星に見えるでしょうか。明るい方の星がミザール,暗い方の星はアルコルといいます。このミザールを望遠鏡でアップして見ると,こちらもさらに二重星になっているのがわかります。この2星はお互いが2万年周期で回り合っている連星です。

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2番目に紹介するのは,りょうけん座のコル・カロリという星。小さな望遠鏡でも見やすい二重星です。明るい星の方は黄色みのかかった白。暗い方の星(伴星)は青紫っぽい色。どちらも微妙な色合いです。また,人によって違う色に見えるという話もあります。さて何色に見えるか,お隣の人と確かめ合ってみてください。

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3番目に紹介するのは,しし座のアルギエバ。600年ほどの周期で回り合っている連星です。両方とも黄色っぽい色をしていますが,金色と黄色だという人もいます。かなり近寄っている二重星です。さて2つに分かれて見えるでしょうか。
口径の大きな望遠鏡ほど,細かい部分まで見分けることができます。二重星の見え方がどう違うのか,大小いくつかの望遠鏡を見て比較してみてください。また,レンズを使った屈折望遠鏡と鏡を使った反射望遠鏡では見え方に違いがあるのかどうか,ぜひいろいろな種類の望遠鏡を覗いて比べてみてください。

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二重星以外に,ちょっと珍しい天体を一つ紹介しておきます。
M3という天体です。大きめの望遠鏡で覗くと下の写真のように見えます。何やらつぶつぶしてますね。

M3_1

これがM3ですが,どんな天体だと思いますか?
その正体は,球状星団といって,数万から数百万個の恒星がボール状に集まった天体です。球状星団の多くは,私たちの銀河系(天の川銀河)の周辺部に存在していて,ほとんどが100億歳以上という老齢の星ばかりから構成されています。
どうして,こんな球状に星々が集まってしまったのか,その形成過程はまだ解明されていませんが,どうも銀河系が誕生したときに,ほぼ同時期に誕生したのではといわれています。どうしてそんなにたくさんの星がボールのように大集合したのか,本当に不思議です。じっくり眺めていると宇宙の神秘を感じることができるのではと思います。
球状星団は,大きな望遠鏡で覗くと,細かく一つずつの星々に分かれて見えますが,小さな望遠鏡ではボンヤリとしか見えないものです。観望会では,ぜひ,より大きな口径の望遠鏡で見てみてください。
ちなみに写真に撮ったイメージを下に載せておきます。

M3_2

※HP中の星図,星座絵については,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。

 

天体望遠鏡博物館

開館日

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